VIEW21 2003.2  コミュニケーション新時代
 生徒との時間をより大切にするために

 教科書とは別に、澤田先生オリジナルの教材も用意された。その教材には、高等部で行われているプレ「選択情報」の授業で培われたノウハウも生かされている。各教師の作成したデータが、共有フォルダで一括管理されている環境のメリットを生かして生まれた教材でもあるのだ。
 グループ学習は、1グループ5~6名単位で実施されている。課題の作成や提出は、ネットワーク上にある共有フォルダを経由して行うように指導。家庭でパソコンに慣れ親しんでいる生徒にとっても、ネットワークの概念と便利さは新鮮に映ったという。課題の作品ができ上がり出力する時には、皆がプリンターの周りに集まり、出力されるのを見て歓声を上げていたと先生は述懐する。
 今後の新しい課題は、この授業を受けた生徒たちが高等部に進学したとき、「情報」として何を教えるかにある。今のところ「情報C」のレベルを予定しているが、中高一貫校ならではの特性を生かし、じっくり研究していくことになるという。事実、高等部の生徒の中からはCG(コンピュータ・グラフィックス)や動画編集、あるいはデータベース構築といった、より高度なコンピュータ活用を求める声も生まれつつある。

写真
澤田先生オリジナルの教材。コンピュータの基本的な操作方法に始まり、文書作成、画像処理、インターネットへのアクセス方法やネットマナー、ホームページ作成時の色や絵の使い方、さらには著作権の考え方にまで言及している。


情報を評価して主体的な人生を歩むことそれが最終的な目標

 同校では年2回、1週間規模で授業参観を実施している。
 「情報」の授業を見学した保護者の評価は高い。生徒たちの積極的な態度、授業のレベルを目の当たりにするからだ。
 「情報」はすべての教科の基になるもので、生活や人生の選択にさえかかわってくる。情報教育の成果について高橋先生は、「自分の希望や夢を持ちながらも、『情報』を学ぶ過程で客観的・現実的に物を考える力を身に付けていくようだ」と評価する。それは、澤田先生の「情報を受け取るときには、情報を発信している側の意図を見分けながら取捨選択しなくてはなりません。また、情報の発信には当然、責任が伴います。授業『情報』の目的は、情報を評価して豊かで主体的な人生を築き上げる力を習得することにあります」という意見と重なってくる。
 「情報への接し方や使い方には、その人なりの人間性や価値観が出てくるものです。だから私は、本校で情報を学んだ生徒が社会に出たとき、『玉川聖学院の出身者は情報マナーがいい、それに情報をうまく使いこなしていますね』という評価を貰えたらと思っています」(澤田先生)

図
生徒たちが、グループ単位で取り組んだ作品の一例。

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