VIEW21 2003.2  コミュニケーション新時代
 生徒との時間をより大切にするために

知識吸収と情報発信の基地となる情報センター

 生徒たちが進路研究に取り組む場所として、情報センター(図書館)も見逃してはならない。図書(紙データ)とパソコン(電子データ)が共存する場所、それが情報センターだ。
 42台あるノートパソコンは、無線LANに接続しているので、センター内の自由な場所で使用することが可能だ。生徒一人ひとりにパスワードが配付されており、昼休みや放課後、長期休暇期間に、大学研究や職業研究にと活用されている。もちろん図書の検索や図書案内などのサービスもシステム化されており、校内LANによって、情報センター以外の場所からでも必要な図書の検索ができるなど、快適な環境が提供されている。
 また2名の司書は、書籍関係だけではなく、パソコン操作やインターネット検索などの面でも生徒にアドバイスする体制になっている。
 もちろん情報センターは、授業でも盛んに利用されている。国語、理科、公民、家庭科、人間学、選択社会等々、情報センターを使う教科は様々だ。利用内容も、調べ学習や資料収集、ディベート準備や研究発表とバラエティーに富んでいる。
 取材日には、高等部の選択社会の授業が行われていた。生徒たちは電子百科事典を利用して調べ学習を行い、調査の結果をワープロソフトでまとめあげて、その内容をプロジェクターで投影しながら研究発表を行っていた。視線がスクリーンに集中している姿は印象的だった。
 こうした一連の取り組みを支える同校の情報教育の在り方を端的に示し、また生徒たちが情報教育に取り組むときの姿勢をさらに育てていく取り組みが、中等部で本年度からスタートした「総合的な学習の時間」のカリキュラムとしての「情報」である。

写真
情報センターで行われている授業の様子。各生徒の机の上にはノートパソコンが置かれている。


グループ学習により生徒同士で教え合い、喜びも共有する

 「『情報』の授業をほぼ1年行ってきましたが、当初の予定より約2か月分、カリキュラムの進度が早まったのは嬉しい誤算でした。生徒が主体的にコンピュータ室で学び、情報センターで自由に課題に取り組める環境があったからこその実績だと考えています。また授業では、生徒同士が自然と教え合い、助け合い、協力する姿勢が育まれていきました。文章表現、イラスト、写真、論理性など、生徒一人ひとりが自分の得意な点を生かして活躍できる場のある情報教育ならではの特性が発揮されたのです。生徒同士のコミュニケーションがとても密になりました」
 こう語るのは、中等部の情報教育を担当する澤田恵子先生。今年度、中2で開始された「情報」には、年30時間が割かれた。この授業は、高校の「情報A」のレベルを習得する内容だ。前期の中間テストはパソコン検定5級程度、後期の中間テストは同4級程度である。実際の評価は、生徒個人のスキル、知識、関心、意欲などを総合して判断される。
 「カリキュラムの最初はパソコンの扱い方です。家庭で慣れ親しんでいる生徒もいましたが、『コンピュータのことは何も知らない』という前提でスタートしました。生徒全員が同じスキルになるように気配りする時期でもあり、個別学習の授業形態を採用しました。ほぼ全員のスキルが見届けられた時点からはグループ学習に転換しましたが、課題を与えると、生徒たちは自主的に学んでいくケースがほとんどでした」


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