ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
藤田英典教授に聞く.これからの教育が向かう方向とは?
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子どもの学力差に最善の対応をするために
―学校現場では学力の二極化傾向が進み、学力別に対応せざるを得ないという現状がありますが、習熟度別学習についてはどのようにお考えでしょうか。
 学校教育は学習を基本にしているわけですから、生徒たちの中で学力差があるのならば、それに対して最善の対応をすることが大切です。そのためには、習熟度別学習は効果的だと思います。ただ、それをどういう形で各学校段階において実施するかということです。私は、4つのポイントが少なくともあると思います。一つ目は、基本的な生活集団・学習集団としての学級の重要性を確認して、特定の教科に限って部分的に行うこと。二つ目に、原則として生徒の自己申告によってクラス分けを行うこと。どの教科の場合はどのクラスがよいかという組み合わせ方は子どもが選ぶというのが望ましいと思います。例えば、発展学習クラスと中間クラス、基礎反復トレーニングクラスなどを設けて、学期単位とか何か月単位とかで、自分はどこにいくかということを、子どもたち自身で選べるようにするとよいのではないでしょうか。三つ目に、学期ごとないし学期に2回くらい再編を行うとか、生徒の希望と教師の判断で随時にクラスを移動できるようにしておくこと。最後に、下の方のクラスほど、スタッフの充実を図ることです。上位の生徒はある意味で放っておいてもできる。下位の生徒を軽視してしまうと、習熟度別授業は学校全体としてうまくいきません。


「特色づくり」よりも「固有な学校づくり」を
―現在、教育現場では生き残りをかけて学校の特色づくりに力を入れていますが、その現状と望ましい方向についてお聞かせください。
 学校の特色づくりは、英語教育やコンピュータ教育を重視するといった方法だけではありません。教師や生徒たちが、「これは自分たちの学校だ」と誇りを持てる、あるいは「自分たちがつくっていくのだ」という学校をつくることも、特色づくりの一つだと思います。その意味で、私は「特色ある学校づくり」よりも「固有な学校づくり」と言う方がより適切だと思います。そのためには、生徒たちがどこまで自分自身の学習や全体の学習について責任を持たせてもらえるかということが重要になります。そして、生徒たちがいろいろな活動に積極的にチャレンジしていくような姿勢を持たせることです。生き生きとした学校生活を生徒たちがつくり上げているということをいろいろな形で宣伝できるならば、それが一番よいと思います。
 
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