ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
シラバス作成をどのように進めるか?
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「発展途上」という認識の下、さらなる改善を図る
 以上のように、同校では、実際にシラバスを運用した実績を踏まえて、積極的に改定作業が進められている。もちろん、教科によるフォーマットの違いを柔軟に捉えている点や、シラバスのワークブック化などについては、「シラバス本来の姿ではない」という意見もあるかも知れない。だが、同校の教師たちはあくまでも「生徒が使えるシラバス」を作成することの意義を強調する。
 「シラバスには、確かに様々な定義があるでしょう。しかし、本校はあくまでも『生徒が学習に使えるシラバス』の作成を目指しているのです。各学校の問題意識に応じて、多様な形のシラバスがあって然るべきではないでしょうか」(仲吉先生)
 取材中、同校の教師たちは「本校のシラバスはまだ発展途上です」と繰り返した。生徒の実態に合わせた本校独自のシラバスを追求していく―という思いが、その言葉に集約されているように感じた。


まとめ
 今号の事例からは、次の二つのことが言えるのではないだろうか。
 まず一つは、シラバスの在り方は、シラバス作成の目的に応じて柔軟に捉える必要があるという点である。今回紹介した二つの事例にとどまらず、作成目的の異なるシラバスが同じ運用方法に落ち着くということはあり得ない。その意味で、自校の課題認識を欠いた借り物のシラバスでは機能し得ないのである。もちろん、先進事例に学ぶことは重要だが、それをいかに自校のものとして消化するかどうかが、問われることになるだろう。
 もう一つは、北海道教科会議の事例に象徴されるように、シラバス作成を通じた指導力の向上が、学校や教科の枠を越えて期待できる点だ。今後、シラバス作成が全国的に拡大するに連れ、シラバスの公開を通じた指導ノウハウの交換は益々盛んになるのではないだろうか。
 シラバス作成には様々な可能性が秘められている。今後とも編集部では、本誌、あるいは ベネッセ教育研究開発センター または Benesse High School Online 上で、全国の実践事例を積極的に取り上げていきたい
 
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