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通話やデータ通信を超える携帯電話の新たな可能性
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携帯電話普及の要因は競争原理の導入と技術革新にあった
 携帯電話の誕生は79年。日本において、世界初の自動車電話サービスとして始まった。このアナログ通信による「第一世代」はそれから約15年間続いたが、加入件数が劇的に増えることはなく、93年にはわずか200万件に過ぎなかった。
 ところが、93年にデジタル通信が始まり「第二世代」に突入した携帯電話は90年代半ば以降、爆発的に普及し始める。毎年1000万件規模で加入件数が激増し、00年にはついに固定電話の加入件数を上回った。現在、我が国における携帯電話・PHSを合わせた移動体通信の加入件数は、延べ7565万件。93年には200万件だった加入件数が、わずか10年で約38倍に膨れ上がったのである(図1)。
図1
 90年代半ば以降、携帯電話が急激に普及した背景には、次の二つの要因があった。
 一つは競争原理の導入である。それまでは、NTT(旧電電公社)だけが移動体通信のサービスを行ってきたが、94年の電気通信事業法改正による規制緩和によって、新規事業者が参入できるようになった。複数の事業者が携帯電話市場に参入したことで、熾烈な価格・サービス競争が始まったのである。
 もう一つは技術革新である。中でも半導体技術の進歩は目覚ましく、30年前には数億円から数十億円もする巨大なコンピュータでしかできなかった情報処理が、現在ではポケットに入るほど小さな携帯端末で可能になっている。
 また、液晶画面やCCD(【注1】参照)カメラなどの部品技術の進歩と部品の小型化・軽量化は、携帯電話の可能性を大きく広げた。特に日本では、諸外国とは異なり家電メーカーが数多く参入しており、家電の分野で培った小型化の技術やエンターテイメント的なノウハウを生かして、市場を一層活気付けることになったのである。
【注1】CCD(Charge Coupled Device) 電荷結合素子。レンズから入った映像を電気信号に変換する装置で、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などで使用されている。
 
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