ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
保護者に伝えたい情報とは(2)
   2/5 前へ次へ


早期の意識啓発を保護者会で行う
 前号では高校生活導入期における保護者への情報提供について考えてみた。今号では引き続き、夏休み前における文理選択に向けた情報提供について考察していきたい。
 文理選択は、生徒の人生設計そのものにかかわる重要な課題である。多くの学校では1年次の11月前後に最終的な文理分けを行うが、保護者への情報提供は、できるならば6~7月のうちにはスタートさせたい。と言うのも、この時期から学校では、職場訪問や大学見学など生徒の進路観育成を狙った様々な取り組みが本格的にスタートするため、保護者へ早期に進路指導の流れを伝え、家庭でのフォローを同時進行で行ってもらえれば、これらの取り組みをより効果的なものにできるからだ。
 情報提供のタイミングとして最も適しているのは、6月に設定されることが多い第一回の保護者会であろう。この時点では、進路シラバスなどを活用し、学校側が描く指導の流れを改めて提示すると共に、文理選択の成否が以降の成績の伸びにも密接にかかわってくることも合わせて伝えたい。図1は2学期以降の生徒の学力向上と文理選択に対する姿勢の相関を示したデータであるが、このようなデータがあれば、文理選択がいかに重要なことなのか、効果的に保護者に伝えることができるだろう。
 また、それ以前の問題として、文理選択が決して生徒の進路志望を狭めるものでもなければ、受験対策のためだけに行われるものでもないことを保護者に伝えたい。意外な盲点と思われるかも知れないが、「文理選択をなぜしなければならないのか」「文理選択をして、幅広い教科履修の機会をなくしてしまうのはなぜか」というレベルの疑問は、保護者の中に広範に存在するのである。実際、弊社に対する問い合わせの中にも同種の意見はかなり見られる。このレベルでの疑問を解消しておかないと、なかなか次のステップに進めない。
図1
 
このページの先頭へもどる
   2/5 前へ次へ
 
このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.