三者面談を視野に具体的な目標を設定する |
保護者会での情報提供においては、もう一点留意すべきことがある。それは、文理選択に向けて保護者が果たすべき役割を、具体的な行動指針で示すことである。また、行動指針を示すと共に、それをいつまでに実行しなければならないのか、達成期限を明示することが必要であろう。特に、夏休み前において重要なのは、第一回の三者面談を見据えて情報提供を行うことである。そうすることで初めて、三者面談が文理選択に向けたストーリーの中にきちんと位置付けられるのである。この時点では最低限、次の三つのメッセージを伝えておきたい。 |
(1)生徒の興味や適性を把握する
高校生活導入期においては「生徒と進路について話し合う環境をつくる」ことが保護者の目標だったが、三者面談に向けては、もう一歩目標設定のレベルを高め、「保護者なりの視点で生徒の興味や適性を語れるレベルまで、生徒と深く話し合う」という目標を掲げたい。その際には、「保護者の職業体験を語って聞かせる」「ボランティアやインターンシップ、地域社会の様々な行事に参加させ、社会体験を積ませる」「生徒と一緒にオープンキャンパスに参加する」といった具体的な手法についても情報を提供したい。先進的な高校では、実際にこうした体験を積んだ保護者に講演をお願いしているケースもあるようだ。 |
(2)生徒と将来展望を語り合う
生徒の興味や適性をある程度把握できたら、生徒の将来展望について一緒に話し合うことを保護者に求めたい。学校の進路学習ではまず「なりたい自分像」を描かせるところから学習がスタートするのが一般的である。そのための動機付けを家庭でも行い、保護者にも進路学習の一端を担ってもらうのである。
もちろん、このような情報提供は新入生オリエンテーションなどを通じて既に行われているかとは思うが、こうした取り組みが必ずしも効を奏しているとは言い難いのが現状である(図2)。また、話し合いの質についても、生徒の将来展望をきちんと把握できている保護者は必ずしも多いわけではない(図3)。文理選択に向けて「何となく」知っているレベルから「知っている」と断言できるレベルまで話し合いが進むよう促したい。 |
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(3)入試に対する理解を深める
文理選択は大学入試と直結している。保護者には、文理それぞれの進路が大学入試とどのような関係にあるのかを伝えたい。また、文理選択後は、カリキュラムも文理で違ってくる。難関大を目指す生徒の場合、一部の科目を補習で学ばなければならないケースもあるだろう。学校として文理選択後の生徒の学力養成をどのように図っていくのか、教育課程の面からも情報を伝えておくことが望ましい。 |