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保護者に伝えたい情報とは(2)
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三者面談で教師が把握すべきポイント
 以上のようなメッセージを事前に提供することで、保護者は主体的な問題意識を持って三者面談に臨むことができるはずだ。高まった保護者の意識に応えるためにも、夏休み前の最後の仕上げとして、教師側も最低限、次の三点を把握するように努めたい。
(1)生徒に改めて自分像を描かせる
 三者面談というと「保護者と教師が互いの情報を交換する場」としてのイメージが強い。だが、文理選択に向けてこの機会を活用することを考えるなら、「生徒に改めて自分像を描かせる場」として捉えることも重要である。保護者の把握している生徒像、教師の把握している生徒像をそれぞれ交換すると共に、それを生徒に語って聞かせることで、生徒はより深く自分を理解することができるはずだ。もちろん、そのためには、日頃から生徒と個別面談を行うなどコミュニケーションを密にして、興味や適性の把握に努めることが求められる。生徒・保護者・教師が顔を合わせるこの機会を、有効に活用したい。
(2)成績への不安を和らげる
 生徒と将来像を話し合う上で、保護者が必ずと言ってよいほど抱くのが生徒の成績への不安である。入学から数か月が過ぎたこの時期、科目への適性も含め、生徒の学力がある程度明らかになってくるが、適切なフォローを欠いた場合、生徒がその時点での成績や、科目の得意・不得意だけを考慮して文理選択を行ってしまいかねない。これだけ進路指導が充実した昨今ですら、約半数の生徒が科目の得意・不得意を基に文理選択をしているというデータもある(図4)。
 もちろん、最終的に受験校を決定する際には科目適性も考えなければならないが、1年次のうちは、あくまでも「なりたい自分像」から進路を考えさせるべきである。「生徒の希望を尊重する」ことと、「安易な進路選択を容認する」ことは決して同じではない。苦手科目を克服した生徒の事例を示すなどして、最後まで「励まし役」に徹するよう、保護者に伝えたい。
図4
 
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