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生活態度・授業態度に危機を感じる中学校
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約7割の中学校教師が生徒の気質変化を実感
 高校同様に、中学校においても子どもを取り巻く教育環境は大きく変化している。02年度の新学習指導要領施行を受け、中学校には03年度から新課程を経験した新中1生が入学してきた。近年「無気力」「幼稚化」など生徒気質の変化が叫ばれている中、中学校の教師は新中1生の気質変化についてどのように感じているのだろうか。
 今回の調査では、新中1生が以前の生徒と比べて変わったと感じている教師は68.5%と、実に約7割に達していることが分かった(資料1)。
資料1
以下、資料2のデータを基に、具体的にどのような点が変わってきたと感じられているのかを見てみたい。


自身に意識が集中し周りが見えない中学生
資料2
 新学習指導要領の施行により最も懸念されたのが、指導内容の削減による学力の低下であったが、今回のアンケートによれば「教科学力」の変化は15.7%であり、生徒の「態度」に関する項目に比べると低い数値になっている。しかし、「アルファベットが書けない」「漢字が読めない」「『てにをは』を間違える」など、学習する上での基盤となる知識の脆弱さを指摘する声もあり、年度を重ねるに連れて指導内容の削減による影響がじわじわと出てくる恐れは否定できない。
 一方、最も変化の著しい項目が「生活態度」「授業態度」など日常生活における生徒の「態度」に関するもので、それぞれ32.5%、22.9%を占めている。中でも集中力のなさ、礼儀のなさを指摘する声が多く、「50分の授業を我慢できない」「『おはよう』『ありがとう』などの基本的な挨拶ができない」といった声が寄せられている。
 また、前記2項目の延長線上にあるのが「協調性」の欠如で、この項目についても20.5%と無視できない数値になっている。具体的には「注意するまでおしゃべりを止めない」「周りの意見が気に入らず、自分の意見ばかりを主張する」など、自分のことだけに意識が集中して周囲をあまり顧みない生徒が増えている。教育現場において、子どもの個性を尊重しすぎることが、かえって周囲との協調を保てない生徒を増やす原因の一つになっているのかも知れない。
 
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