ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
学校PR活動で教師の意識改革と指導力向上を図る
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 3年前、安城東高校で広報活動を担当する大見学先生は、ある中学教師から、同校に対するこんな評判を耳にした。「安城東高校は進学校であることにあぐらをかいて、中学生が入学してくるのをただ待っているだけではないか」
 中学では必死に受験対策をして、できるだけ上位の高校に生徒を進学させようと頑張っているのに、高校は中学校の苦労も知ろうとせず、生徒が入学してくるのは当たり前のように思っている――。もちろん同校だけを非難しているのではない。いわゆる「進学校」全般に対して、中学校ではこんな印象を持っているというのだ。
 同校は創立28年目。歴史は浅いながらも設立以来、朝補習や全員参加の夏休み補習授業など、生徒の進路希望をかなえるための施策を次々と打ち出してきた。また、毎年150名前後の国公立大合格者を輩出し、着実に進学実績も上げている。高校3年間でしっかりと生徒を育成し、大学へ送り出しているという自負はあった。しかし、大学進学という高校としての義務を果たすことばかりに目を奪われ、中学校を知ることで自校の指導を見直すという視点が欠けていたのも確かだ。その結果が、先述の中学教師の「安城東評」となって突きつけられたのである。
 「89年から愛知県では複合選抜制度(※参照)が設けられ、公立高校間の格差が明確になっていました。また、週5日制下でもほとんどの私学が土曜講座を実施するなど、私学との競争も一層激しさを増しています。これまで以上に『選ばれる学校』を目指す必要性は前々から感じていました。それだけに、中学教師の指摘はショックでしたね。そこで、02年度から中学校や中学生に対して積極的に広報活動を実施していくことにしたのです」(大見先生)
※複合選抜制度 学区内のすべての高校を2つの群に分け、各群をさらにA・Bグループに分け入試を行う制度。受験生は同一群内でA・Bグループの一方を第1志望、もう一方を第2志望として出願することができる。この制度の導入により、学校間格差が鮮明になったと言われている。
 
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