もう一つ、
同校が放課後を活用して実施しているのが「課題テスト」だ。これは定期テストがない時期に組み込まれており、国数英理社の5教科について全学年を対象に実施している。今年度の1年生の10月を例にとると、11日の小論文模試の後、16日が国語、21日が数学、27日が化学といったように、生徒にとってはほぼ毎週課題テストが待ち受けている。
「課題テストは、年度当初に学習計画表の中であらかじめ実施日と出題範囲を提示しています(図1)。数学の場合は市販の参考書から出題範囲を指定し、1年間に5~6回行うテストで1冊が終わるように配分しています。定期テストがその時期に学習した内容の修得度の確認であるのに対し、課題テストは既に学んだことを反復学習することによって、知識を定着させることを目的としています。課題テストの結果分析を基に、生徒たちの苦手分野を把握して授業改善に結び付けたり、三者懇談会の際のデータとして用いたりしています」(日比野先生)
多治見北高校は、授業中の小テスト、定期、課題、さらに校内実力や模試など、テストが多い学校だ。生徒の自主性を重視しながらも、同時に生徒が学びへと向かう仕掛けも、きちんと設定している。 |
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さらに同校では、
学習面での自主性を養うだけではなく、人間的成長を支援する機会も設けている。生徒が、受け身の姿勢から自主性を持った大人へと成長していく過程では、モデルとなる上級生の存在も欠かせない。そこで同校が実施しているのが、「縦割りロングホームルーム(以下、縦割りLHR)」だ。
縦割りLHRが行われるのは毎年10月。学年の壁を取り払って1組、2組、3組というクラス番号ごとに集団を作り、さらに集団を三分割して縦割りLHR用のクラスを作る。つまり、クラスの中には1年から3年まで、各学年の生徒がいることになる。そして「進路について」などのテーマを設定し、ディスカッションを行うのだ(図2)。 |
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02年度のテーマは「自分の学校について」。ある集団では校舎の改築案について、1、2年生が模型を作って発表を行い、3年生がそれを評価するという形で進められた。準備過程では、2年生が1年生をリードして改築案を作り上げていく。本番では3年生がその改築案に対して、理路整然とした”大人のコメント“を寄せる。
「下級生は上級生の姿を見て、すごいなと感じるみたいですね。元々本校では、3年生の室長が1、2年生の室長を呼び出して、クラス運営の何たるかを説くという伝統がありました。残念ながら今は行われていませんが、先輩の姿を見て学ぶというのは、一番身近なお手本になります。縦割りLHRばかりでなく、上級生と下級生が一緒に活動する機会を増やしていきたいですね」(佐々木先生)
30年以上に渡り65分授業を続け、中身の濃い授業を展開するのみならず、生徒の自主性・自学力をも育成する。授業改善と自主性の涵養を両立させ、相乗効果を生み出している同校の取り組みは、授業改善を目指す多くの高校に示唆を与えるのではないだろうか。 |
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縦割りLHRでは、事前に各学年の代表が集まり合同班会議を実施。事前にプレゼンの打ち合わせを行う。学年の壁を越えて、活発な意見交換がなされる。 |
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