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低学年次の情報ギャップとその対処法
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学校の情報にギャップを感じる保護者
 家庭の教育力を引き出し、生徒育成に活用する――。本コーナーでは、この目的を達成するために、学校にどのような情報提供が求められるのかを考察してきた。だが、家庭に対する情報提供を考える上では、教師側の努力とは別次元の問題として、「学校のメッセージがどれだけ保護者に伝わっているのか」、あるいは、「保護者が本当に望んでいる情報の質がどのようなものか」という問題についても考慮が必要である。
 そこで我々は、03年7月に、進研ゼミ会員の保護者120名を対象にアンケートを実施し、学校の情報提供に関する意見集約を試みた。個々の意見については後述するが、全体的な傾向として、情報提供が体系的でないために、学校の姿が今一つ見えにくく困惑していたり、あるいは、学校から提供される情報と、知りたい情報の間にギャップを感じている保護者が少なからず見られた。
 以下では、主に低学年次の指導で課題と思われる代表的な意見について紹介すると共に、学校側で考えられる対応策について考察していきたい。
保護者の意見(1)
 最も多く寄せられた意見の一つが、「部活の意義や大切さは分かるが、学習時間が圧迫されているのではないか」という意見であった。もちろん、部活と学習の両立は学校側でも苦慮している問題であり、保護者の懸念も分からないわけではない。
 「家庭に対する情報提供」という点から考えれば、部活の意義を保護者に十分に伝えられていないことにこそ問題がある。実際、このアンケートを寄せてくれた保護者に、追加ヒアリングを行ったところ、学校側は「部活をとにかく優先してください」と言うばかりで、「なぜ部活を優先すべきなのか」をきちんと保護者に説明していなかったという。
 改めて確認するまでもないことだが、部活の意義は、生徒に集団生活に対する耐性や、物事を継続する粘り強さを身に付けさせることにある。また、部活を継続していた生徒ほど、受験勉強開始後の学力の伸びが大きいことは、多くの教師が認めるところであろう。
 だが、教師にとっては当たり前のこのような認識が、必ずしも保護者にも共有されているとは限らない。部活と受験学力に「正の相関」があること、あるいは、部活での体験を通じてこそ、人間の幅が広がり、社会性を身に付けられることなどを逐一説明しなければ、納得できない保護者も多いのである。時間は限られるが、保護者会や三者面談を通じて、きちんと説明するようにしたい。実際、今回のアンケートでも「『部活をやっていた生徒ほど学力は伸びますから』という教師の一言があったので安心できた」といった声が複数寄せられている。
 
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