ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
高校生が主体的に語る21世紀の教育像
苅谷剛彦
東京大大学院
教育学研究科教授
苅谷剛彦
Kariya Takehiko
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講 評
 今回の高校生フォーラムでは、「教育」という難しいテーマに果敢に取り組んで、各校ともユニークな視点から教育の現状を分析し、高校生らしい提言をしてくれました。全体を通して、質の高いプレゼンテーションだったと言えるでしょう。また、どの学校もプレゼン用ソフトで作った資料が素晴らしく、パソコンを使いこなす知識や技術、そして表現力の豊かさに感心させられました。
 「教育」について語るのがいかに難しいかは、昨今の教育問題にかかわる議論を見ても分かります。私自身「教育」を研究し、多くの人と議論をしてきましたが、議論が噛み合わず、歯がゆさを覚えることは少なくありません。それは「教育」というものが、一人ひとりの経験や考え方によって違った捉え方をされているからではないかと思います。
 優れた調査研究に含まれるデータは、ある程度多くの人々が賛同できる考え方のベースになります。今回のプレゼンテーションの良かった点は、そうした多くの人々に共有可能な資料を下敷きに自分たちの論を積み上げていったこと、さらにそれらを基に、具体的な教育施策にまで言及したことでしょう。
 「教育」は専門家にとっても非常に難しいテーマです。今回のプレゼンテーションにおいても、もう少し踏み込んで論じた方がよいのではないか、と思わせる部分があったことも事実ですが、教育を受ける当事者である高校生が論じるということは、相当な努力が必要ですし、それを具体的な形で提示してくれたこと自体に大きな意義があると思います。こうして、教育について教育を受けている側から論じていくことが、教育を変えていく原動力の一つになるのだと思いました。
参加校の生徒の声
 
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