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学部・学科選択に向けた保護者への情報提供
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学部・学科の知識を保護者に身に付けてもらう
 前号までは、主に1年次における保護者への情報提供について考察してきた。今号では、学部・学科選択に向けた2年次の情報提供について考えていきたい。
 学部・学科選択は、単に生徒の希望進路を決めることのみを意味しない。その後の学習の進め方、さらには生徒の人生設計そのものにも直結する重要な課題である。まずはこの点を保護者に伝え、積極的に生徒に関与する意欲を引き出すことが、2年次のスタートにおけるポイントである。
 とりわけここで強調したいのは、「学部・学科選択が志望大の決定と不可分の関係にある」ということだ。と言うのも、学部・学科構成の細分化に伴って、特定の大学にしか存在しない学部・学科が年々増加しているからである。しかし、必ずしも保護者がこの点を理解しているとは限らない。実際、自身の学生時代の経験から、「医学」「理学」「文学」といった旧来の学部・学科観に捕らわれている保護者や、生徒が調べてきた断片的な情報だけを基に、進路決定を後押ししてしまう保護者も少なくない。
 こうした事態を防ぐためには、何よりも保護者自身に、学部・学科の現状について学んでもらうことが大切である。できるだけ1年次のうちに、保護者が主体的に学部・学科研究をするための資料を配付しておきたい。具体的には、大学情報誌や、学校独自の進学資料を配付するといった方法が考えられる。これにより、学部・学科構成全体の見取り図を持った上で、保護者が生徒に接することができるようになるだろう。もちろん、資料を「配りっ放し」にするのではなく、事前に保護者会を開き、資料を配る意義を説明するなどのフォローを行いたい。


生徒と保護者の意見をすり合わせる
 生徒・保護者の双方が進路に対する理解を深めてきたら、具体的に両者の希望をすり合わせなくてはならない。最終的な学部・学科選択が2年次の11月前後ならば、少なくとも2年次の前半のうちに、そのための動機付けを行っておきたい。機会として最も適しているのは、6~7月に設定されることが多い2年次第1回の三者面談であろう。この時点では、以下の2点を特に重点的に確認しておきたい。
(1)生徒の希望進路に対する理解度
 まず確認しなければならないのは、保護者が生徒の希望進路をどこまで正確に把握しているかである。図1は、03年8月に弊社が行ったアンケートの結果であるが、教師の目から見て親子のコミュニケーションが必ずしも十分に図られているとは言い難いのが現状である。
図1
もし、十分な話し合いがなされていないようならば、具体的に時期を区切り、「いつまでにこの観点で話し合ってください」という形でのフォローが必要だろう。両者に進路選択のスケジュールを認識させることが、まず重要である。
 さらに、この時点では、「子どもが志望学部・学科を決めかねていることを知っている」という保護者に対するフォローを重点的に行いたい。一般的には、保護者向け講演会を設けて意識付けを図ったり、先に配付した進学資料に目を通すよう伝えたり、といった手段が考えられる。合わせて、決して子どもの進路決定を焦らせないようにすることも伝えておく必要がある。学部・学科選択という岐路を前に、この時期は生徒も保護者も、ともすれば進路決定を焦りがちになるが、まだ最終決定までに時間があるのも事実である。進路学習を続けていく中で、生徒自身が自らの進路を発見できる可能性はまだ十分に残されているのだ。ここはあくまでも「生徒自らが進路を見つけるまで待つ」というスタンスを貫きたい。
(2)「迷い」の内容に対する理解
 希望進路を決めかねているケースについては、どのレベルで悩んでいるのかを把握したい。と言うのも、漠然と「医学部と工学部の間で悩んでいる」というケースと、「A大の○○学部と、B大の□□学部の間で迷っている」というケースでは、自ずと対応の仕方も異なってくるからだ。前者のレベルであれば、担任の教師がその場でアドバイスすることも可能であろうが、後者のレベルでは、他の教師が持つ指導ノウハウが必要になる場面もあるだろう。
 つまり、改めて問われるのは、生徒の進路決定を組織的にサポートできる体制がその学校にあるかどうかである。面談結果を踏まえ、事後の対応を考える際にも、担任が個人で行うのと、学年会や進路検討会を通じて行うのとでは、フォローの質が変わってくる。特に、インターネットの普及に伴って、特定の大学に関する情報では生徒や保護者の方が詳しくなっているケースも多い。そうしたときに適切なアドバイスができないと、学校の進路指導に対する信頼の低下にもつながりかねない。場合によっては個別に再度面談を行い、大学の資料を渡したり、卒業生の声を紹介するなどの取り組みが必要になってくるだろう。
 
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