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神奈川県立小田原高校校長 |
石原春男
Ishihara Haruo
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教職歴36年目。同校に赴任して1年目。「生徒指導の基本は『生徒を信用すること』。指導の初心として常に心掛けています」 |
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神奈川県立小田原高校教諭 |
鈴木靖
Suzuki Yasushi
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教職歴23年目。同校に赴任して2年目。総合学習委員会委員長。数学担当。「心の中の自分としっかり向き合える生徒を育てたい」 |
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神奈川県立小田原高校教諭 |
神戸秀巳
Kanbe Hidemi
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教職歴23年目。同校に赴任して7年目。
進路指導部主任。英語担当。
「生徒に生きる喜びを与えられる教師でありたい」 |
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生徒の進路意識の啓発に向け、社会人や大学生を招いた講演会を実施する――。進路学習の重要性が広く認識されるに連れ、全国の高校現場ではこのような取り組みが広く行われるようになった。
だが、周知のように、こうした取り組みを実施するためには、事前の交渉や講演意図の擦り合わせはもちろん、何より講演者の確保に多大な労力を払わなければならない。「生徒の関心事に応じた実体験に基づく話ができる講演者をできるだけ多く確保したい」と考える教師は少なくないが、多くの講演者を確保するためにはかなりの負荷がかかっている。
そんなジレンマを解決する一つの突破口として、地域の人材や卒業生の「人材バンク」化に取り組む高校が増えている。今号では、神奈川県立小田原高校の事例から、「人材バンク」構築に向けたヒントを探ってみたい。 |
母校に対する卒業生の思いを生かしたい |
神奈川県有数の伝統校である小田原高校は、教育現場へ積極的に卒業生や地域の先達の力を取り込んできた学校である。2000年度には現役大学生で組織した自前のネットワークである「先輩アドバイザー制度」を設立、そして03年度からは、自校の卒業生のみならず、地域の人材全体を対象とした人材バンク「先輩助っ人バンク」を立ち上げた。進路指導部主任の神戸秀巳先生は、こうした施策の背景にあった思いを次のように語る。
「地域の中心的な進学校ということもあって、小田原地域では、卒業生に限らず本校を『地域の学校』として見守ってくれる風土があります。卒業生や地域の方々のそうした思いを、何とか教育現場で生かすことはできないかと考えました」
一方、同校の内部にも、卒業生や地域の人材の巻き込みを必要とする事情があった。石原春男校長は、それを「進路意識の確立の遅さ」と表現する。
「本校は神奈川県の中で西部に位置することもあり、生徒の進路意識の形成に対する刺激が少なく、受験態勢への切り替えが遅いという課題を抱えていました。何らかの意識啓発を行うことで、もっと生徒を伸ばすことができるのではないかと考えていました」
こうした内外二つの要因を背景に、同校では積極的な人材バンクの構築が行われるに至った。以下、主な取り組みの内容と、運営上の工夫について見てみたい。 |
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