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卒業生1000名のネットワーク「先輩アドバイザー制度」
一連の取り組みでまず初めにスタートしたのが、00年に立ち上げられた「先輩アドバイザー制度」である。これは、同校の卒業生から有志を募って設立された組織であり、会員は在校生向けの大学情報の提供や、講演会への参加を行うなど、学校の取り組みに協力している。卒業後間もない先輩学生が会員なので、後輩にも身近な視点で情報提供や講演を行うことができる。
「例えば、03年6月には、様々な専攻分野の卒業生30名余りの参加を得て、『先輩と語る進路学習会』を実施しました。いわゆる講演会ではなく、生徒を希望進路ごとの小グループに分け、それぞれに先輩一人が付く質問会形式としました。少人数でコミュニケーションが取れるので、本音で質問ができたと、生徒にも好評でした」(神戸先生)
このような取り組みは、会員数がある程度確保できて初めて可能になる。同校ではその点にも留意しており、会員の確保を、生徒の卒業時点で行っている。
「会員になるかどうかは、生徒の卒業時に判断してもらい、連絡先もその時に了解の上、提示してもらっています。また、『電話連絡可』『メールでの質問なら可』といった具合に、連絡手段や協力のレベルもこの時点で調査します。卒業時に布石を打っておくことで、確実に使えるネットワークを、資産として残すわけです」(神戸先生)
実際、ここ3年、「先輩アドバイザー制度」には、同校の卒業生のほぼ全員が加入し、会員数は1000名以上を数えている。
一方、同組織については、生徒と先輩学生が直接情報交換を行うルートも確保されている。「ある大学について知りたい」という生徒がいた場合、同校の進路指導部では、その大学に通う「先輩アドバイザー」を、生徒に直接紹介することが広く行われているのだ。
「あくまでも自己責任の範囲内ですが、先輩にアポを取って、大学のキャンパスを案内してもらう生徒も珍しくありません。一人で見学に出掛けるよりも、得られる情報量ははるかに多いですから、進路意識の啓発にも大きな効果がありますね」(神戸先生)
もちろん、生徒への紹介に当たっては、守秘義務の徹底や、事前のマナー指導など、教師が留意すべき点は多い。だが、先輩と後輩が直接情報交換をするこのシステムが、教師の負担軽減に効果を発揮している点は、他校にとっても参考になるのではないだろうか。
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