ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
再編・統合を機に進む教育・研究体制の大改革
中野仁雄
九州大副学長
中野仁雄
Nakano Hitoo

野澤秀樹
九州大副学長
野澤秀樹
Nozawa Hideki
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総合大+単科大の組み合わせが圧倒的な大学の再編・統合
 02年10月、筑波大と図書館情報大及び山梨大と山梨医科大(当時)の統合を皮切りにスタートした大学の再編・統合は、03年10月を機に新たな段階に入ろうとしている。既に再編・統合を終了した大学、及び今後予定・検討している大学を図1に示したが、わずか1年ほどの間に、実に20余りの大学がその在り方を大きく変えようとしている。また、時期は明言していないものの、再編・統合に向けた議論を継続している大学もかなりの数に上り、今後も状況は流動的なものと言える。
図1
 しかし、こうした動きが伝えられる一方で、肝心のその「中身」については十分な報道がなされていないのが現状である。特に、再編・統合のほとんどが、総合大+単科大という組み合わせで行われるため、ともするとそれは、行財政改革に伴う独立行政法人化を受けた「経営の合理化」として受け止められてきた。実際、文部科学省からの大学再編の明確なビジョンやタイムテーブルの説明が不足していたために、その全体像が見えにくかったのは事実である。
 だが、再編・統合を控えた大学の多くは、これを一つのチャンスと捉え、その在り様を大きく見直そうとしているようだ。例えば、03年10月に統合した九州大と九州芸術工科大のケースでは、個性・資質の異なる学生・教員の「ミキシング(Mixing)」をキーワードに、教育・研究システムの大幅な変革が行われつつある。事実、統合に向けた学内調整に尽力してきた中野仁雄副学長は「今回の統合に当たっては、『まず統合ありき』という考え方は決してなかった」と断言する。
 「九州大と九州芸術工科大の統合のベースは、あくまでも両大学が自律的に進めてきた大学改革です。ですから、今後の大学経営においても、両大学が培ってきた伝統や特質をうまく生かしていく方策が模索されています。異なる個性・強みを持つ両大学が統合することにより、従来では考えられなかったような教育を可能にすべく、様々な改革案が進行中です」
 では、「新生」九州大では、再編・統合と合わせて具体的にどのような大学改革が行われようとしているのだろうか。以下、順を追って見ていきたい。
 
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