ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
再編・統合を機に進む教育・研究体制の大改革
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3 統合を受けた今後の展望
「フルラインナップ」の強みを生かした今後の戦略
 このように九州大では、統合の効果を生かすべく様々な改革が進行中であるが、さらに長期的なスパンに立ったビジョンも準備している。野澤副学長はそれを「芸術領域の研究分野が加わったことで、事実上ほとんどの研究領域を有する大学になった強みを生かすこと」と語る。
 「芸術系の学部を有したことで、本学の研究領域は医学、工学、文学から芸術工学まで言わば『フルラインナップ』が揃いました。すなわち『九州大では何でもできる』という状態に本当の意味で近付いたわけです。今後はその強みを生かす方法をさらに考えていきたいですね。今はまだ検討段階ですが、将来的にはデザイン工学系の専門職大学院の設置なども可能だと思います」
 実際、既に動き始めている取り組みもある。「感性融合創造センター」の設置がそれだ。
 「『感性融合創造センター』の設置目的は、『芸術的感性の諸科学への融合を促す』というものです。この目標に沿った研究の中には、既にいくつかスタートしているものもあり、例えば私が所属する医学研究院とのコラボレーションでは、3次元的コンピュータグラフィックスで人体をデータ化する研究などが行われています。その他にも、文化財のデジタルアーカイブ化や、人間の嗅覚、味覚などをデジタルデータとして処理するための研究などが、関連分野と共同でスタートしています」(中野副学長)
 統合を通じ、研究・教育環境の改革を推し進める「新生」九州大。統合を予定する他の多くの大学でも、独自の統合ビジョンに基づく改革が予定されている。再編・統合後の大学が目指す教育・研究改革の方向を見極めていくことは、生徒の進路実現の支援を考える際にも大きな意味を持つであろう。
 
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