ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
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「自立型人間」育成の基本は態度教育
――先生は現在、天理大で教職志望者の育成に努めておられます。実際の講義を例に「自立型人間」育成の方法を教えてください。
 相手が大学生であっても、基本は態度教育です。と言っても、私語をしている学生や遅刻をしてくる学生をやみくもに怒鳴りつけるだけではだめです。真面目に、素直に、一生懸命に人の話を聞くことが、教師を志す人間にとっていかに大事か、今学校現場で起こっていること――生徒の態度の乱れ、学校の荒れの現状――を紹介しながら、指導力を身に付けることの重要性を説いていく。さらに言葉で伝えると同時に、文章にして目で見せる。筋道立てて説明していくと、皆が私の話を真剣に聞くようになります。主体変容――自分が変わるから相手が変わる、先生が変われるから生徒が変われる――ということに学生が気付くわけです。こうした指導を根気強く繰り返すと、学生は私に特別な雰囲気を感じるようになります。
 次に例えば「講義の5分前になったら、ゴミを拾おう」と呼び掛けます。清潔な環境で勉強することが現場の教師にとっていかに重要かを科学的に説明する。そうすると次の授業では、すべての学生が5分前にゴミを拾って着席し、落ち着いて授業を受けるようになります。皆良い姿勢で90分の講義を聞いて、感想文などの提出物も今まで以上にしっかり出すようになる。そうなると、今までは私の雰囲気でつくられていたものが、「文化」になります。「文化」になったら、今度は人に伝わっていくので、態度教育の手間はさらに減っていきます。そして最後は「常識」になる。これが正攻法の生活指導だと思っています。
 ところが先生方の多くは、このように手間と時間を掛けた生活指導をしないで「今の生徒はだめだ」と嘆いている。「主体変容」という教育の根本原則を、教える先生自身が分かっていないんです。
原田隆史


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