ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
関根正史
群馬県立高崎高校
関根 正史
Sekine Masashi
教職歴28年目。同校に赴任して12年目。進路部長。「生徒との出会いは一期一会。生徒が主体性を持てるようにサポートしたい」

山口和士
群馬県立高崎高校
山口 和士
Yamaguchi Kazushi
教職歴26年目。同校に赴任して9年目。1学年主任。「柔軟な発想力を基に、生徒が果敢に社会に挑戦できる環境をつくりたい」

坂田 和文
群馬県立高崎高校
坂田 和文
Sakata Kazufumi
教職歴24年目。同校に赴任して15年目。運動部長。「生徒には目先だけに捕らわれず、将来を見通して高校生活を送ってほしい」

関口理
群馬県立高崎高校
関口 理
Sekiguchi Makoto
教職歴23年目。同校に赴任して12年目。進路副部長。「生徒にはハートで接しています。生徒が力を出せるようサポートしたいです」

関根 正弘
群馬県立高崎高校
関根 正弘
Sekine Masahiro
教職歴19年目。同校に赴任して6年目。SSH主任。「苦労してこそ本質は見えるもの。労を惜しんではだめだと生徒には言いたい」

濱野 雅樹
群馬県立高崎高校
濱野 雅樹
Hamano Masaki
教職歴19年目。同校に赴任して4年目。進路部。「自分たちの学校活動が未来の社会につながることを知ってもらいたいですね」

天野 正明
群馬県立高崎高校
天野 正明
Amano Masaaki
教職歴17年目。同校に赴任して11年目。進路部。「生徒に対しては、取り繕わず、本音で接することを心掛けています」

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学校の総合力を結集し生徒の主体性を高める
群馬県立高崎高校
 生徒を人間的に成長させると共に、学習への意欲を向上させる―。
 このテーマに対して、学校はどのような生徒育成ビジョン、学校運営スタンス、教育実践手法でアプローチしているのだろうか。今回、群馬県立高崎高校と三重県立川越高校の事例から、生徒の学習力を伸ばすために必要な視点や考え方を考察する。

学習と部活動の両輪で総合的な人間力を育成

 高崎高校は、群馬県西部に位置する全国的にも有名な伝統校である。特筆すべきは、人口40~45万の学区にあって、例年、東京大、東北大をはじめ、180名以上の国公立大合格者が輩出する一方で、部活動においてもバスケットボール部や陸上部、ソフトテニス部、弓道部など多くの種目で関東大会、全国総体に出場といった実績を上げている点だ。
 文武両道||。言葉にすると簡単だが、実践するのは難しい。同校はこの10年間、伝統校でありながら進学実績と共に全国総体などの部活動における実績も着実に上げてきている。こうした同校の学校としての総合的な強さを、進路部長の関根正史先生は次のように分析する。
 「『進路指導は生活指導である』が本校のモットーです。つまり、部活動も含めた学校生活のあらゆる活動を通して総合的な人間力を育み、生徒が主体的に選択しながら自己実現を図れるようにサポートすることが、学習活動にも好影響を与えているのだと思います」



高崎高校の強さを支える4つのポイント
 では、同校の強みとは具体的にどのような点にあるのだろうか。関根正史先生によれば、次の4点が挙げられるという(図1)。
図1
 第一は、伸びようとする生徒の姿勢を潰さず、適切にサポートしていく点である。同校では教師が無理矢理、生徒を引っ張り上げるようなことはしない。例えば面談では、なるべく生徒に語らせて、教師は話の中から生徒自身がどうしたいのか潜在的な意識を引き出していく。
 第二は、生徒に感動を与える授業を行うことだ。そのための工夫として、中学生や保護者を対象にした授業公開制度や同校の教師がお互いの授業を見学する「校内授業公開週間」を設け、互いに批評し合う中で授業ノウハウの研鑚を図っている。
 第三は、学習以外の様々な機会を通じて、生徒の多様な能力を引き出すことだ。生徒は、授業や部活動、生徒会活動など、場面場面で異なった表情を見せる。担任だけでも、部活動の顧問だけでも分からない多面的な生徒像を把握していくために、個々の活動を充実させるだけでなく、教師相互の連携も図っていくのである。
 第四は、学校として「守り」に入らず、常に「攻め」の姿勢を貫いている点である。他校が逡巡している活動でも、先陣を切って実践していく。「失敗をする可能性もある」と関根正史先生は述べるが、失敗を恐れずに実践する「攻め」の伝統が、現在の同校の強さを形づくってきたことも確かだ。
 さらに、これらの学校活動の諸要素を貫くのが「人が人を育てる」という考え方だ。
 「学校現場では人と人とが触れ合う中で、生徒と教師が互いに錬磨していくことが大切です。どういう教育システム、デバイスを使うかということよりも、どのような教師がどのような特質を持った生徒を、どのように指導していくかに重きを置いています」(関根正史先生)
 では次ページから、さらに詳しく同校の指導の在り方を考察するために、「学校組織・実践の側面」と「生徒育成の側面」から、生徒の主体的な自己実現をどのようにサポートし、学びへの意欲を高めているのかを見ていきたい。


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