ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
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柔軟性のある組織力
変化対応力
 同校の強みの第三は、学校全体の制度変更の面で「柔軟性」を持っている点である。内部・外部の環境変化に応じて、授業時間や補習のシステムを改編することで、基礎学力の定着を図っている。
 例えば95年、隔週5日制になったときは、いち早く65分授業を採用。前年度中に教科ごとに授業内容を見直し、65分に合わせた授業計画を策定すると共に、年間指導計画の見直しを図った。だが同校の強みは、単に1コマの授業時間を延ばしただけではなく、それに伴って新たに浮上した課題に対しても、柔軟に対応してきた点である。進路副部長の関口理先生は、当時の状況を次のように述べる。
 「単に制度上の改編として65分授業にすることは簡単です。しかし、1コマの授業時間が長くなることで、欠席・公欠の生徒とそうでない生徒との学力差が出てしまう弊害が考えられ、その対策に最も工夫を要しました。そこで96年度から、平日の早朝補習や放課後補習の充実、土曜課題の徹底、長期休暇中の補習内容の充実など早急に対策を施したのです」
 部活動との兼ね合いで、補習計画を調整している点は、「文武両道」を校是とする高崎高校らしい配慮と言える。平常時の課外授業については、3年生は5月の総合体育大会後、1、2年生は6月の文化祭後から実施。また、1、2年生は放課後の補習を行わず、早朝補習に絞っている。夏季休業中の補習は前期・後期に分けているが、部活動の計画に基づいていずれかを取ることが可能になっている。
 学力面だけに偏らず、部活動にも配慮した柔軟な補習計画を推進する高崎高校。こうした点に意識を傾けるのは「総合的な人間力の育成」が学力向上だけでは達成できないという全教師の確信があるからだ。


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