ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
PAGE 13/20 前ページ次ページ


Part2 生徒育成の側面から 生徒に求める力
 生徒の多様な能力を引き出すためには、学校活動のあらゆる場面を有効に活用することが大切だ。時には行政の教育施策に積極的に名乗りを上げ、一方で学校の「不易」も大切にする。SSH、部活動、進路学習の3点から、「総合的な人間力育成」の手法を探る。

問題発見能力
SSH
 近年の高崎高校の取り組みで、顕著な実績を上げている活動の一つが、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)である。「将来に渡り積極的に科学技術にかかわろうとする情熱と意欲を持った生徒の育成」をテーマに、1年では希望者を募り2クラスを編成、2、3年生は各1クラスで実施している。1年次は、第一線の研究者による講義や実験を行う「先端科学講座」と、その成果を英文レポートで作成する技術や英語によるプレゼンテーション能力を育成する「科学プレゼンテーション英語講座」が二本柱。「特に先端科学講座(図3)は、科学技術に対する興味・関心を喚起する上で大きな効果を発揮している」と、SSH主任の関根正弘先生は指摘する。
図3
 「毎回、講義の際は必ずレポートを書かせていますが、入学当初の5月の時点と、12月の時点とでは、レポートのまとめ方が格段に上達すると共に、文章量も見違えるほど増えています(図4)。また、アンケートの結果を見ても、SSHクラスの生徒は他クラスの生徒と比較すると、進路観や学びに対する意識・意欲が高くなっています(図5)」(関根正弘先生)
図4
クリックすると拡大表示します。
図5
 家庭学習の多い生徒にその理由を聞くと、1年生の実に50%が「将来の目標(職業)に向けて」と回答している。科学に対する興味・関心が高まることで、進路に対する意欲も喚起され、それが学びへの意欲にもつながる好循環が生まれているのである。
 今後の課題は、SSH事業が完了する05年度以降に、同校の教師だけで同様の取り組みを継続していくことができるかどうかだ。そのため、03年度からは現場の教師が大学の研究室を訪問して、事前に実験方法や最新の科学知識を学んだり、外部講師による講義を聴講したりしている。高校教育の枠を越える実験を授業に採り入れている教師もおり、こうした教師たちの積極姿勢が生徒の信頼感を高めているのである。


PAGE 13/20 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse