ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 変わる大学入試で求められる教科学力
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読解を意識化させる手法「マーキング読解法」
 しかし、そもそも読み方を知らない高校生に、現代文を入試で求められる深さで読むということがどういうことなのかを理解させるのは難しい。
 流し読みではなく、立ち止まって考えながら読ませ、表現や論展開を根拠に筆者の主張とそこに至る論の進め方をきっちり読み取らせる。その際に、進研ゼミでは読解を意識化させることが重要だと考え、文章に印を付けながら読解する「マーキング読解法」(図13)を行っている。
図13
進研ゼミ高校講座作成
 「マーキング読解法」では、図14に示したような箇所に着眼させることで、評論であれば話題・論展開・主張をつかませるのがねらいである。
図14
進研ゼミ高校講座作成
 マーキングすることで、自分が読み終えた文章を俯瞰したとき、マーキングした部分が浮き上がる。構造や論展開が視覚化できることで、読解がより深まる。また、定型化した方法で繰り返し実践させることで、スキルとしての定着が図れ、初見の文章への対応力が上がると考えている(図15)。
図15

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2004年度進研ゼミ高1講座『エンカレッジ国語』難関大突破コース4月号「マーキング読解講義」より


インプットを顕在化させることが、アウトプット力の下書きへつながる
 さらに言うと、マーキングによって精緻で的確な読解をさせることは、インプットを顕在化させることでもある。顕在化されたインプットは、アウトプットの下書きとしての価値も持っている。こうしたインプットが、答案作成力・論理的表現力への土台になると考えられるのである。
 アウトプット力の養成については今後さらに研究していく必要があり、また、インプット力としての読解力養成も、この方法が適切かどうかは今後の検証を待たねばならない。生徒の学習履歴は様々であり、効果的な学習方法を見いだすのは容易ではないが、一つの指導法として、参考にしていただける部分があれば幸いである。


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