ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 変わる大学入試で求められる教科学力
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国 語
アウトプット力につながるインプット力強化の指導


高校生の国語力の実態と今後入試で求められる力
 先般の文部科学省の高3生学力調査結果では、国語Ⅰは唯一4教科の中で正答率が期待値を上回った教科として紹介されたが、決して楽観視できる結果とは言えない。
○文章内容を大まかに把握する力はほぼ付いているが、筆者の考えの進め方や表現意図を捉える力は不十分。
○自ら興味・関心を持ったことについては自分の考えを書くことはできても、話の進め方を捉えた上で自分の意見を筋道立てて述べる表現力は不十分
など、筆者の立場や構成を踏まえて文章をより深く読解する力や、状況・条件を踏まえて意見を論理的に表現する力が弱いと分析された。
 しかしこれらの力は、今後より論述形式の出題が増えると言われる難関国公立大の個別学力試験はもちろん、国語という範疇を越えた総合問題や小論文の入試においても重要視されるだろう。


アウトプット力は、インプット力に支えられている
 これからの入試で求められる表現(=アウトプット)力とは、単に自己主張をする力ではなく、読解した内容や状況・条件などの把握(=インプット)に基づいて整合性を取りつつ、筋道立てて説明する力だと言える。正確なインプットなくして、的確なアウトプットは成立しないのである。こう考えていくと、国語力は「読解」というインプット力に支えられていると言えよう。
つまり、正確に読解する力を養うことが、読解内容を踏まえた自らの意見を表現する力へとつながっていくと考えられる(図11)。
図11
進研ゼミ高校講座作成


読解力の付け方を知らない高校生
 高校生の学習法相談で意外に多いのが、現代文の読解力の付け方についてである。現代文を自分で勉強したことがなく、現代文はぶっつけ本番で挑むしかないと思っている高校生は多い。苦手だということにすら気付いていないため、模擬試験などが増える高2後半~高3春にかけて、実は現代文ができないことに初めて気付き、焦り始めて相談しにくるケースも少なくないようだ。


現代文で求められる力を再定義し、指導していく必要性
 現代文を自分で学習したことのない高校生に、なぜ現代文を勉強しないのか尋ねると、「同じ文章がテストに出ることはないから、勉強しても無駄。日本語だから何とかなると思っていた」という答えが返ってくることが多い。
 こういう答えを聞いていると、現代文で求められる力とは何かを再定義し、その力(図12)を養成する方法はこうなのだと高校生に強く印象付けていくことこそが大事だと思われる。
図12
進研ゼミ高校講座作成


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