ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 薬学教育改革の方向性とは
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Chapter3
改革後の教育内容 ~これだけ変わる薬学教育

実務実習を2~4週間から約半年間に延長
 6年制学部の教育内容については、既に日本薬学会が「薬学教育モデル・コアカリキュラム」というモデル案を作成している。社会のニーズに合った薬剤師を養成することを狙いとして、実習教育科目を充実させること、学生が何をどこまで学べばよいか到達度目標を掲げていることが特徴だ。各大学は、このモデル・コアカリキュラムを踏まえて、それぞれカリキュラムを組んでいくことになる。
 モデル・コアカリキュラムと現行のカリキュラムとの一番の違いは、病院や薬局などでの実務実習の大幅延長だ。現行では実習期間は2~4週間だが、06年度以降は24週間程度、つまり半年間が充てられることになる。
 「6年制教育になることで、例えば薬物治療の授業についても、一般論ではなく個々の症例に対してどのような治療が最適かといった、実地に即した教育を行うことができます。学生はまず授業でより実践的な知識を修得した上で、長期間の実務実習に臨むのです。現場では、患者さんに薬物を投与したところ思わぬ副作用が出るなど、いくら授業で実地に即した教育を受けたとしても対応できないような事態に遭遇することも少なくありません。そこで実務実習を通じて、授業では身に付かない個々の患者さんや症例への実践的な対処能力を磨いていくわけです。これは従来の4年教育ではできなかったことです」(富田教授)
 ただし実務実習では、薬剤師の資格を持たない学生が、調剤業務や服薬指導に携わることになる。そこで実習生の質を保つために、医学部同様、実務実習に必要な知識・技能・態度を学生が身に付けているかを測る「共用試験」を実施し、試験に合格した学生のみが、実務実習に臨める形にする予定だ。4年次の終わりに「共用試験」を受験し、5、6年次に実務実習があるカリキュラムとなりそうだ。
 一方、4年制学部の教育内容については、中教審は「6年制学部と4年制学部においては、明確な教育理念の違いがあるべき」としている。
 ただし桐野教授は、「6年制と4年制でそれぞれ目的が異なっても、薬学について学ぶという点では同じです。4年次になるまでに学ぶ内容は、多くの部分で重複するのではないかと思います」と予想する。この点は文部科学省も共通する部分があってもよいと考えている模様だ。
図3
コラム
※(株)スギ薬局…1976年創業。東証、名証一部上場。東海地区では売上高第1位。日本で唯一、全店舗に調剤室を設置している調剤併設型のドラッグストア。


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