|
|
|
Chapter4
6年制施行に向けて ~法案通過後の各省・大学の動き |
4年制学部生の薬剤師受験資格はH29年度入学生まで |
|
6年制学部は薬剤師養成、4年制学部+大学院は研究者養成を主目的とした学部になることは、これまで述べてきた通り。ただし現在国会で審議中の薬剤師法改正案では「新制度へ円滑に移行するための経過的取り扱いとして、法施行後の12年間、つまり17年度(平成29年度)までに薬学の4年制課程に入学し、その後、薬学の修士課程を修了した者であっても、一定の要件を満たす限り薬剤師国家試験の受験資格を付与する」となっている。17年度入学生までは、4年制学部に進んだとしても、受験資格が得られるというわけだ。
「ただ問題なのは、改正案にある『一定の要件』というのが、どの程度のものになるかです。これについては現時点では決まっておらず、『一定の要件』を満たすためにどのような科目を履修する必要があるか、また学生が『一定の要件』を満たしているかどうかを認定する方法についても、今後詰めていく必要があります。厚生労働省には、4年制学部在籍者への薬剤師国家試験の受験資格の付与はあくまでも特例措置にしたいという思いがあるようですから、『一定の要件』のレベルは、かなり厳しいものになることも予想されます」(桐野教授)
法案が成立すれば、今年度中には中教審が6年制学部の設置基準を審議。これを受けて来年度には、各大学による6年制学部設置の申請と、4年制学部の定員増減の届出が行われる予定だ。したがって6年制学部と4年制学部を設置する薬学部数、定員が明らかになるのは、05年度ということになる。 |
|
実務実習先や指導教員の確保が課題 |
|
6年制学部設置に向けた大学側の課題としては、「実務実習先の確保」が挙げられる。実務実習の充実は薬学教育改革の柱の一つだが、付属病院を持っている総合大学はまだしも、単科薬科大では、学生を受け入れてくれる実習先の医療施設の確保に苦労することが予想される。また実務実習の指導教員についても、今後新たに採用する必要が生まれる。
「国立大は大学院の教員などを動員できますが、実績の少ない私立大は薬学部の増加によって、実習先や指導教員の確保が大きな課題になるでしょう。」(富田教授)
実習先や指導教員の体制が、教育の質に大きく反映されることになるのだ。 |
|