ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 富山県立富山南高校「進路学習」
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「本物」に触れて見えてきた将来展望
 OB・OGとの懇談会において自分たちで司会進行を務める、研修旅行において旅行計画を立て、自力で目的地までたどり着き、訪問先の人とやりとりする。これらの経験が生徒に自信を与えたことは想像に難くない。例えば、球技大会などの学校行事で運営や司会を生徒に任せても、何をしてよいか分からずに戸惑うこともなくなった。
 もちろん「進路探訪」の最大の目標である、将来に対する目的意識も育ちつつある(図2・3)。
図2・3

「進路探訪」を体験した生徒の意識調査。「懇談会」は参加した生徒の約8割が「参考になった」「役立つと思う」と回答。「研修旅行」に関するフリーアンサーでは、大学で学ぶことについての意欲を新たにする生徒が数多く見受けられた。

 「本校では4割近い生徒が東京の大学に進学しますから、東京の大学の雰囲気を知っておくことは非常に大切です。実際のキャンパスがイメージと違うということに気付いた生徒もいましたし、研究設備を見て学習意欲を喚起された生徒もいました。こうした体験をしておくことで、大学の名前やイメージだけで大学を選ぶ生徒が、以前と比べると減りつつあると感じています」(尾崎先生)
 さらに同校の取り組み中、最も生徒に強烈な印象を残したのは2年次の研修旅行における企業訪問だ。それは生徒の書いた事後報告にも如実に表れており、「本で得る情報と、実際に行って、見て、聞いてくるのとでは違う」「会社の空気に圧倒された」など感想が数多く寄せられた。こうした生徒の感想は、全員の事後報告書としてきちんと冊子にまとめられるが、これらの冊子を改めて読むことで仕事の大切さを実感し、何をしたいのかしっかりと考えて進路を考え始める生徒が増えてきたのである。
 「1日見学しただけで職業のすべてが分かるわけではありませんが、実際に自分で足を運んで『本物』に触れること自体に意味があるのです。世界的な企業を訪問し、応対していただいた社員の丁寧な言葉遣いや態度から社会人のすごさを実感する。生徒自身が『自分もこうなりたい』と感じることが、真剣に進路を考えるきっかけになっていると思います」(尾崎先生)


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