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岡崎高校の強さを支えるのは教師としての熱意と自覚 |
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以上に見てきたように、同校では取り組みの運営や組織など、常に生徒に目を向けた指導方針を徹底している。こうした指導を可能にしている背景には、個々の取り組み内容もさることながら、教師一人ひとりの生徒育成に対する高い意識が存在する点を見逃してはならないだろう。何よりも大切なのは「岡崎高校の教師としての自覚」を、常に持って生徒に接していることだと、水野先生は述べる。
「本校の教師として大切なのは、教師としての熱意と自覚(誇り)です。生徒のためにできることを最大限の力で発揮する。こうした教師力が学校風土として根付いていることが大きいですね。ですから、面談指導や添削指導、不振者対策など、教師と生徒が向き合う時間は非常に多いんです。熱心で丁寧な指導が生徒との距離感を縮め、絶対的な信頼感を生徒に与えることができているのだと思います」(水野先生)
実際、同校では教師が生徒と接する時間は多い。例えば、04年度の夏季課外は1・2年生は7月30日(前期)、3年生は8月4日(前期)まで実施し、前後期合わせて1・2年生は13日間、3年生は20日間行う。3年生は正規の課外に加えて、大学入試を意識した応用講座を午後に実施。1・2年生には、成績が振るわない生徒に対して補習を実施。更に、夏休み中に進路指導や生徒把握のために、1年生から3年生まで面談を行っている。
クラス担任は志望大合格に向けた学力養成に責任を持ち、教科担任は知的好奇心を喚起するレベルの高い授業内容や展開、教授法に工夫を凝らす。更に部活顧問は、側面から「やりきる力」を育み、学びへのモチベーションへとつなげていく。生徒と教師の信頼関係が構築されているからこそ、進路指導、教科指導、生活指導のそれぞれの場面へと波及し、生徒の活性化につながっている側面もあるのではないだろうか。
同校では各学年を「○○学年」と、学年主任の名前を冠して呼ぶのが通例となっている。学年主任を核として、個々の学年団があらゆる取り組みを主体的に推進する学校風土が、教師の熱意と自覚を引き出す重要な要素であると共に、よい意味で学年に緊張感や使命感をもたらしている。更に、会議を活性化させたり、新しい取り組みを担っていくのは、30歳代から40歳前後にかけての機動力のある教師であり、共有された学年・分掌のノウハウが蓄積されて、次代へと受け継がれていくのである。 |
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生徒の気質変化、学力層の拡大など、近年の課題に対応しながら、着実に前進を続ける岡崎高校。同校の取り組みを水野先生は「生徒のために教師としてこうありたいというモデルに照らして、教師が力を合わせて、当たり前のことを当たり前にこなしているだけ」と言い切る。ともすると忘れがちな、「当たり前のこと」を堅持しながら、組織としての指導力を担保し続けることが、同校の進路指導の要諦と言えるだろう。 |
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