専門で求められる力を見据えた出題・評価の在り方 |
|
一方、今後の入試では、入学後の専攻分野を意識した出題・評価が一層本格化すると両教授は語る。
「例えば、法学部からは、数学の入試に関し、『論理性と発想力』を測る出題をしてほしいという声が上がりました。法曹の現場では、一つとして同じケースにぶつかることはありません。固有の課題に対し、柔軟にかつ粘り強く交渉し、解決方法を見いだす力が求められることがその背景にあるようです」(森田教授)
大学の学部・学科で求められる力を意識した数学の出題は既にいくつか見られると弊社進研模試編集部も指摘する(図9)。 |
|
更に、こうした大学の思いは、要求学力にとどまらず、出題範囲・評価方針にも影響を及ぼしている。
「06年度入試より、京都大では文系数学の問題に、数学Cを課すことを決定しました(図10)。通常、高校では理系を選択した生徒が履修する数学Cを文系でも出題することにしたのは、数学Cで扱われる行列、確率の基礎を理解しておくことが、社会科学系の学問では言わば『常識』として求められるためです」(西田教授) |
|
採点の段階で学部ごとに配点率や評価基準を変えたりすることは現在でもそれほど珍しいことではない。実際、東北大では、同じ問題でも小問ごとの配点は学部特性を踏まえて設定されており、京都大でも、学部によって採点基準に差を設けているという。 |