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志望進路を絞り込む指導は毎月の面談でアドバイス |
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以上のようなプロセスを終えた後、同校の生徒たちはいよいよ2年3学期後半から学部・学科を含め、卒業後の進路について具体的に考えていく。学校の進路指導もこれまでとは打って変わり、志望と直結した発展的な学習や、入試・就職に関する情報提供が活動の中心となる。
だが、これまで見てきたように、2年次まで、どちらかと言えば視野を広げる指導を中心に受けてきた同校の生徒たちが、3年次に学部・学科の絞り込みや受験校の決定をスムーズに行うことができるのだろうか。実際、1~3年次を通して、同校では学部・学科研究や大学比較を一斉指導で行うことはないのである。しかし、取り組みを始める以前と比べると、志望を明確に描ける生徒は確実に増えたという。その背景には、生徒にハードルを越えさせるための様々な工夫があるようだ。
「視野を広げ、知識を深める取り組みに時間を割いているため、一斉指導の場では、学部・学科研究や大学比較研究は行いません。ただし、学部・学科研究を行う際の観点や、大学選びの基準の解説、校内にある情報収集ツールの使い方など、『調べ方』に関わる部分については、2年次から数回に渡って実施する『進路指導ガイダンス』などを通じて繰り返し生徒に伝えています」(伊藤先生)
つまり同校では、一斉指導の枠内では、あくまでも視野の拡大や、志望進路の『調べ方』のみを伝え、実際の学部・学科研究、大学研究などについては、生徒の自主的な活動に任せているのだ。もちろん、生徒にとって、このような活動の負荷は決して軽くはないが、同校ではその点に対するフォローも考慮している。
「自主性に任せるとは言っても、生徒を放りっ放しにするわけでは決してありません。2年次後半から3年次にかけては、担任との2者面談をほぼ月1回のペースで実施し、大学選びや学部・学科選択で悩んでいる生徒に対してはきめ細かく相談に応じています。また、志望実現に向けて頑張り続けることの大切さを折に触れて伝え『諦めないムードづくり』を意識しています」(長谷川先生)
「国公立大の延べ受験者数を母数にした場合の現役合格率で言うと、本校は県下の公立普通科高では3位なんです。生徒へは、希望を諦めず頑張り続けることが大きな成果を生むことを数値で示し、進路便りや学年集会、LHRなど様々な場で生徒へ呼び掛けています」(榎本先生) |
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