ベネッセ教育総合研究所
特集 進路学習の深化を探る
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目標を持つだけでは「学習」に向かわない生徒たち
 そこで、同校では今春卒業した01年度入学生より組織的な進路学習を導入。新課程を迎えた03年度入学生の取り組みは、更に深化した内容の取り組みとなった。しかし、当初から一連の活動がスムーズに進んだわけではないと言う。
 「01年度から、学年団・進路部の先生方と共に進路学習への取り組みを本格的にスタートさせました。将来に向けた自らの生き方・在り方を考えさせるため、まずは、職場訪問をはじめとした、体験の機会を増やしていったんです。ところが、将来への目標をより具体的に持てる生徒が増えたと感じたものの、残念ながら学習習慣面では期待したほどの改善が見られませんでした。触発は受けるものの、日々の生活を変えるための仕掛けが不十分だったんですね。03年度から新課程生を迎えるに当たり、何をどう変えればよいか、何日も議論が交わされました」(鶴田英二先生)


生徒の「進路意識、行動の変容」を支える四つのポイント
 一連の議論を経て、03年度入学生より、「目標に向け、行動する」生徒づくりへの取り組みが本格的に始まった。「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)では、進路学習と小論文指導を融合させた指導の実施が決定。合わせて教科・生活指導面でも新たな取り組みが行われることとなった。こうした同校の進路指導の取り組みのポイントは、以下の4点に整理される。
 一つ目は、「揺さぶりの指導」である。進路学習の成果を日々の学習行動に転化できることを目指し、小論文学習との融合が図られた(図2)。
図2

トップ進学校として3年次に志望大群別クラス編成を行う佐賀西高校では、1、2年次に生徒を高いレベルの進路研究に誘うことが至上命題である。進路指導部の指導と小論文学習を並行して行うことで、その目的を達すると共に、日常的な学習行動への波及効果を狙っている。

 二つ目は、「学習行動に結び付ける」ための仕掛けづくり。特に初期指導において、進路観育成と同時に、実際に「行動する」生徒をサポートするための学習合宿の改革などが並行して行われた。
 三つ目は「大学・学問」への意識を早期に深めるための進路学習のプランニングである。同校の場合、多くの生徒が難関大進学を希望する。難関大への進路保証を見据えながら、取り組みの設計がなされた。
 更に四つ目は、「教科指導」からのサポート。定期考査の位置付けの見直しと授業改革が、並行して行われている。
 それでは以上4点について具体的に確認していきたい。


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