ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 山梨県立・甲府西高校「進学指導」
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他学年に波及する04年度卒業生の成功ノウハウ
 こうした04年度卒業生に対する「諦めさせない指導」の成功が、他学年にも活力をもたらしていることは想像に難くない。04年度卒業生については、意識付けの指導や土曜学習会などの自学自習の取り組みは、実質的に2年次から始めたわけだが、現1~3年次生については入学当初から、同様の方針の下で指導されている。そのためか生徒の志望校へのチャレンジ精神、学習へのモチベーション共に総じて高い。
 2年次副主任の小尾きよこ先生によると、2年次の生徒227名中、私立大志望はわずかに10数人と入学時の志望状況とほぼ変わりはない。04年度卒業生の取り組みを見て、参考にする部分も少なくないという。
 「特に参考にしたいのは、面談の時期ですね。3年次になると、ちょっとした指導のタイミングのズレで生徒のやる気を引き上げたり、また自信をなくさせたりしてしまうこともあります。ファイルサーバーに蓄積された情報も随時活用しながら、04年度卒業生の成功事例を現2年次の指導改善に生かしていきたいと思っています」
 志望校を諦めさせない「意識付け」と自学自習を促すきめ細かい学習指導、更に教師間の共通認識を促す仕組み--。これらの歯車がうまく噛み合ったことが、04年度入試の飛躍をもたらしたようだ(図4)。
図4
「生徒の頑張りとそれを支える教師の団結」という冒頭の原校長の簡潔な指摘の背後には、こうした教師たちのきめ細かな指導があったのである。
 「我々は今回の成功に甘んじることなく、今後も積極的に改革を推進するつもりです。04年度初めから習熟度クラスを廃止し、すべてのクラスをフラットにしました。更に05年度からは65分授業を取り入れます。習熟度クラスを廃止したことで、教師・生徒共に良い意味での競争意識が生まれて早くも活気付いていますし、65分授業では授業時間を確保しつつ、密度の濃い授業を展開していくつもりです。学校も教員も評価される時代はすぐにやって来ます。これからも生徒や保護者の期待に応えられる学校であり続けるために努力し改革していきます」(原校長)


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