ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 教育シラバス徹底活用のヒント
篠山秀志

栃木県立佐野高校
篠山秀志
Shinoyama Hideshi
教職歴21年目。同校に赴任して6年目。1学年主任。理科担当。「将来を見据え、今の自分が磨ける生徒を育てたい」

影山幹男

栃木県立佐野高校
影山幹男
Kageyama Mikio
教職歴32年目。同校に赴任して7年目。学習指導部長。地理担当。「思考力と行動力に富む生徒を育てたい」

石塚学

栃木県立佐野高校
石塚学
Ishizuka Manabu
教職歴18年目。同校に赴任して2年目。数学・情報担当。「勉強は人生を切り開く。部活は人生を豊かにする」

栃木県立佐野高校

栃木県立佐野高校
近藤康弘
Kondo Yasuhiro
教職歴13年目。同校に赴任して6年目。3学年副主任。英語担当。「覇気を持ち、生きる気概を伝えたいと思います」

●栃木県立佐野高校
1901年(明治34年)設立。普通科の男子校。04年度入試では東北大、筑波大、群馬大など国公立大に77名。早稲田大、慶応大、明治大など私立大に延べ402名が合格。
URL:http://www.tcg-sano-h.ed.jp/
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シラバスの活用
教科シラバス徹底活用のヒント
教科シラバスの作成が全国的に進んでいるが、
その一方で、「実際にはうまく使いこなせていない」という声も多い。
どのようなコンセプトに基づいてシラバスを設計すれば、
「使えるシラバス」となり得るのだろうか? 
栃木県立佐野高校、宮崎県立延岡東高校の取り組みを参考にしたい。


事例1
到達度目標の明示に基づく指導改善
栃木県立佐野高校


「マニフェスト」としての機能を最優先に
 教科シラバスに求められる機能は多々あるが、その最も大きな機能の一つは、学校として育成すべき力を明確にし、生徒・保護者に公約する「マニフェスト」としての機能である。学力向上フロンティア事業の一環として原案作成に携わった篠山秀志先生は、佐野高校では徹底してこの点にこだわったシラバスを作成したと語る。
 「シラバスにおいて大切なのは、明確な教育のビジョンを描き、それを分かりやすい形で生徒や地域の方に公約することです。しかし、世間でシラバスと呼ばれているものの中には、進度表の焼き直しのようなものだったり、抽象的な理念のみのものも少なくありません。これでは生徒も保護者も、そして教師自身にとっても有意義なシラバスとはならないでしょう。そこで本校では、学習方法や理念に関わる部分を削ぎ落とす代わりに、『授業を受けたら何ができるようになるのか』という点について、徹底的にこだわったシラバスを作成しました」
 同校がこうした考えに至った背景の一つは近年の大学入試の変化である。同校の生徒の進学志向が高い地方国公立大でも、学問への意欲・関心などを重視した推薦入試やAO入試などが展開されている。また、大学全入時代の入試選抜の在り方としては、従来の相対評価型の入試に代わり、「ある一定の学力到達水準を超えているかどうか」を、判定の指標とする大学が増えるのではないかという予想も出てきている。そこで同校では、学問への興味・関心などを「総合的な学習の時間」で養う一方、学力的に「一定の水準」を超えることを保証することが、今後の同校の生き残りを左右すると考えたわけだ。
 「学力の相対比較に基づくこれまでの入試では、本校のように多様な生徒層を抱える学校の不利は否めませんでした。しかし、『一定の水準を超えているかどうか』に合否の分かれ目があるならば話は別です。明確なゴールを見据えた授業を行うことが、必ずや進学実績の向上に結び付くはずだからです。新たな入試環境の変化を本校にとってのチャンスにするためには、明確な到達度目標を設定したシラバスが必要だったのです」(篠山先生)
 このような考えの下、同校では新課程対応のシラバスを作成し、1年生、2年生に配付した。以下で詳細にその運用状況を見ていきたい。


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