1 単元ごとの明確な到達度目標 |
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同校ではまず「地方国公立大クラスへの進学を着実に目指すことのできる学力を形成する」という指導方針に照らし、センター試験で7割程度の得点を確保できる学力を、育成保証の目安として設定した。その上で、全教科が単元ごとに、どのような授業を行うべきかを具体的な到達度目標で示した。
「ともすると我々は『~について頑張る』『~の美しさを鑑賞する』といった形の表現に逃げてしまいがちです。そこで各教科担当者には、単元ごとに『~ができるようになる』『~が分かるようになる』という形での目標設定をお願いしました」(篠山先生)
図1に、同校の数学のシラバスを示したが、この方針が徹底されていることが分かるだろう。 |
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佐野高校の教科シラバスは、こちらから参照できます
>>数学IIBの教科シラバス (Wordファイル、PDFファイル)
>>化学Iの教科シラバス (Wordファイル、PDFファイル)
>>英語オーラル・コミュニケーションIの教科シラバス (Wordファイル、PDFファイル) |
しかも、同校の取り組みにおいて注目されるのは、いわゆる受験科目はもちろん、客観的な評価基準の作成が難しい美術においてさえ「茶色又は青系で5~7段階の濃淡表現ができる」「0.5~20ミリを単位として分割できる」といった具体的な表現に落とし込んでいることだ。
このような具体的な到達度目標の設定は、教師による指導のぶれを著しく減少させた。地理担当の影山幹男先生は次のように語る。
「教科の専門性が高いということもあり、従来は担当する教師によって、教える内容や進度にばらつきがあったのが事実です。しかし、シラバス作成を通じて授業の目標が明確になったことで、ある単元にこだわりすぎたり、教えすぎたりすることがなくなりました。本校の場合、地歴を個別学力試験でも使う生徒がほとんどいないので、目標設定の精緻化によって重点的に教えるべきことの『範囲と深さ』が見えた意味は大きかったと思います」 |