以上のような工夫を盛り込みつつも、同校では、シラバスの精度を高めるだけでは、生徒がそれを使いこなすのは難しいと考えている。
「自ら課題設定を行い、学習するスタイルの生徒を育てなければ、いくら充実したシラバスを作っても生徒は使いこなせません。シラバスの活用は、自学自習の習慣を生徒に身に付けさせてこそ、初めて意味を持つと考えています」(池上和文校長)
そこで同校では、日々の学習履歴を記入する冊子「ドリカム(Dre Come&To Do)」を使った家庭学習習慣の確立を、シラバス活用の前提として重視している。
「『ドリカム』は、生徒が毎日の家庭学習時間を記入する冊子ですが、狙っているのは生徒に『シラバスを見ながら学習計画を立てる』という習慣を身に付けさせることです。担任の先生方には原則週1回以上のチェックをお願いし、教師のチェック欄の隣には家庭のチェック欄も設け、生徒の日々の学習を保護者にも見てもらえるよう工夫しています。学校・家庭が連携して、シラバスを使える生徒を育てたいと考えています」(池上校長)
このような指導の結果、同校では昨年1年間で、1年生の家庭学習時間が週平均19・8時間から27・2時間、上位40名では31時間から40時間に伸びた。また、同校は05年度より、隣の延岡西高校と統合する。池上校長は「両校のノウハウを盛り込んだ教科シラバスの改良と並行して、学校経営シラバスの作成にも着手したい」と語る。同校のシラバス活用は、新たな一歩を踏み出そうとしている。 |