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3 PDCAサイクル不全(実践の質向上)
評価の観点・手法を明確にする
「取り組みを継続しても、指導効果が高まらない」という課題もある。取り組みが単なる前年踏襲になると、その成果と課題が次年度に積み上がりにくくなり、取り組みの形骸化・硬直化だけでなく、組織自体の疲弊も招きかねない。
こうした課題には
「PDCAの指導サイクルの機能化」
が求められる。中でも、
「評価の観点・手法の明確化」
が重要であろう。なぜなら、継続的に実践の成果を積み上げていく仕組みとして機能するからである。例えば、学習合宿を実施する場合、「学習合宿でどのような効果を狙うのか」「その効果はどのように検証できるのか」「その検証はいつ誰がどのような方法で行うのか」を明確にしておくのだ。そのためには、
評価の観点・手法を明文化
しておくことが不可欠となる。
学習合宿の前には、学年内の役割分担やスケジュールを確認するだけにとどまらず、評価の観点・手法まで共有しておきたい。こうすることで、学年の組織的な実践力が高まると共に、生徒に対する指導の効果を一層高めることができるだろう。そして合宿後は、学年全体で評価の観点・手法に基づいた「総括」を行う。取り組みの成果と課題が教員間で共有され積み上がることにより、次年度の取り組みをブラッシュアップできるのだ。学年内に次なる実践への期待効果が膨らんでくれば、「決まっているからやる」という前年踏襲に陥ることもなくなるであろう。
短いスパンで総括をする
加えて、
「評価の実施時期とスパンの設定」
も重要な視点となる。
取り組みを実施する場合、評価の観点・手法だけでなく、「総括」の実施時期を明確にしないと、評価自体が形骸化する可能性があるからだ。ただし、実施から「総括」が間延びすると、実践時の記憶が曖昧になり、その時抱いた課題がぼやけてしまう。印象レベルでの総括では、課題や成果の共有がおぼつかない。そうなると、取り組みの課題が積み残されたまま次年度も繰り返されることになる。
こうした課題に対しては、
「総括スパンの短期化」
が有効であろう。できるだけ実践の後に即、総括を行うのが望ましい。年度当初に立てた全体指導計画について、取り組みが終了する年度末1回の総括だけでなく、例えば、生徒の中だるみが顕在化する夏休み後にも「中間総括」の機会を設けるなど、指導テーマに応じて評価スパンを設定することも必要であろう。
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以上、組織実践の機能向上の視点・手法を整理した。次項では、こうした視点・手法について、先進校の実践事例を基に考察したい。
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