ベネッセ教育総合研究所
特集 学校組織の機能活性化
PAGE 2/20 前ページ次ページ


2 実践の壁(取り組みの具体化)
実効性のある指導計画をつくる
 実践を推進する際、「総論(目標)は賛成だが、各論(実行計画)になると滞る」という指摘も多い。一般教員が目標に合意しても、各教員の役割が不明確なままで具体的な指導細目を導き出せないと、実践に踏み出すのは難しいだろう。推進チームが強引に主導するだけでは一般教員は冷めてしまい、実践がおぼつかなくなる。
 この課題に対しては、「総論から各論の導き方」が重要である。具体的には、指導計画立案の手法を工夫してみたい。例えば、管理職や学年主任で構成される校内運営委員会などが、取り組みの全体計画を立てる場合、まず全体方針・目標のみを設定する。その目標に対して一般教員の合意が得られれば、後は各学年・分掌が主体的に自らの指導目標や実行計画を作成するのだ。校内運営委員会は、各学年・分掌から提出された実行計画を集約・調整する形で、学校全体の指導計画を完成させるのである。これはあくまで一例だが、全体計画作成の手法やプロセスを工夫することで、総論(目標)を実現するために、「学年・分掌が」「どのような役割と責任で」「いつまでに、何をするのか」という各論(実行計画)を、一般教員が納得できる形で導けるのではないか。同時に、総論(学校として目指すもの)を、学年・分掌の役割と適性に応じて効果的にブレイクダウンできる可能性が高いだろう。
 
校内組織を有機的に機能させる
 全体計画を立案する際、校内組織をどのように有機的に結び付けるのかを考えておく必要もあるだろう。場合によっては、既存の組織の再編成や統合化を検討することも考えておきたい。なぜなら、計画立案の段階で組織配置の妥当性を検討しておかないと、実践段階では組み立てが難しいからだ。校内組織の在り方は、実践期に組織力をどれだけ発揮できるかどうかの大きな鍵と言える。学年や分掌が有機的に連携できる観点で組織全体を見直すことは、特定の教師に業務が偏ったり、仕事の押し付け合いになったりする可能性を排すことにもつながる。
 校内組織の再編・統合を図る場合、有効な手法の一つとして「各学年・分掌のデータの統合化」が考えられる。例えば、「学力向上」というテーマに沿って、進路指導部が蓄積する進学実績データや、学年団が持つ学力推移データ、教科団が持つ教科別分析データなど、これまで各学年・分掌に偏在していたデータを統合化していくのだ。このプロセスの中で、合理的な組織の改編を促したり、学年・分掌横断型の新たな推進部署を創設したりするなど、組織の有機化につながるチャンスが生まれてくる。


PAGE 2/20 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse