ベネッセ教育総合研究所
特集 学校組織の機能活性化
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実証データの提示によりコンセンサスを醸成
 教師一人ひとりの意識を高めると共に、分掌間・教科間でいかにコミュニケーションが取れるかという点も、取り組みの成否を分ける重要なポイントになる。教師間のコンセンサスを醸成するために島原高校が重視しているのが生徒の実証データだ。
 1、2年生では年に三度、「学力検討会」で学習実態調査や模試成績などの数値による生徒の学力・学習状況についての定点観測を行っている(図3)
図3
ここで得られる客観的なデータが、教師の思い込みや主観で生じる指導のぶれを是正する役割を果たしていることに注目したい。3学年主任の岩橋順弘先生は次のように述べる。
 「教師の指導方法や課題の出し方によって、その教科の成績は伸びるけれども他教科の成績が伸び悩んでしまうことが、ままありますよね。そんな時、生徒の学習時間が特定の教科に偏っていると考えがちです。単に結果としての成績だけを見ると、そういう言い訳ができてしまうのですが、実際にデータを比較してみると、特定の教科の学習時間が増えているわけではなく、単に他教科が減っているだけということもあるんです。教科別の生徒の学習時間なども含めて大局的にデータを分析することで、成績からだけでは分からない課題が見えてくるのです」
 このように、学習実態調査などを踏まえた多面的なデータ分析を基に「ある教科の学習時間が減っている本当の原因を探ることから打開策を見いだせるのでは」といった仮説を検証し、次の施策へと落としていくのだ。常に生徒の実証データを多面的に把握・分析しているからこそ、そのデータに基づいた客観的な議論が可能になり、すべての教師が納得して足並みを揃えることもできるのである。


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