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Part2 |
教科別要求学力の変化を探る |
この数年間は難関大で、教科・科目別試験、総合問題や小論文といった試験の形態を問わず、出題内容や要求学力にいくつかの変化が生じている。大学の教育改革の影響を受けた入試問題の変化は、受験生にどのような力を求めているのだろうか。 |
多様化した入試の要求学力 |
問題解決力と資質・興味などを重視 |
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ここ数年、試験の形態を問わず、難関大の個別学力試験の出題内容や要求学力にいくつかの変化が生じている。大学入試以外でも、小学校修了段階の公立中高一貫校の入学者適性検査、15歳対象のOECDのPISAの問題や法科大学院の適性試験に見られるような、従来とは違う基礎学力・基礎能力や専門適性を総合的に測るタイプの試験も現れ始めている。大学の教育改革の影響を受けた入試問題の変化は、受験生にどのような力を求めているのだろうか。実際の入試問題分析結果を基に、この数年間の特色をまとめてみた。 |
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まず、図3は大学入試で求められる力を2000年からの5年分を分析して図上にプロットしたものである。
図の横軸の右がカリキュラムベースで、左がカリキュラムフリー、また縦軸は上が大学のリベラルアーツ教育や専門の内容に近い領域で、下が基礎的であるとした。例えば右下の領域であれば、教科書の区分に近い基礎的な内容が扱われていることになる。
したがって概ね図の右半分が教科・科目別の問題領域であり、左半分が総合問題・小論文問題の領域であるが、分析の結果、その各々が更に大きく3つずつに分類できることが分かった。最近の大学入試では同じ教科・科目別の問題でも、図中アの領域にある「知識や理解を確認するタイプ」の問題数が減少し、イの「課題解決力を問う問題」やウの「大学の教養教育との関連が深い問題」が増加してきている。こうした傾向は難関大だけでなく、(多くの受験生を抱え採点業務の負荷の大きい私立大を除くと)地方の国公立大にまで見られる傾向である。
また、左半分の総合問題や小論文も前章で述べたように、年々出題が増加している。これらはいわゆる知識の活用力や論述力を見るだけでなく、大学で学ぶ領域への資質や適性、興味・関心などを合わせて測定できるよう工夫されているものが多い。 |
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