ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 静岡県立・榛原(はいばら)高校「広報活動」
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生徒の生活態度を改善することで学力向上を実現
 榛原高校に赴任して2年目の99年、濟藤先生は生徒指導主事に就任した。
 「私が生徒指導主事になって最初に行ったのは、ルーズソックスの禁止でした。もちろん一部の先生からは反対もありましたよ。服装指導を厳しくしすぎると、生徒と教師の信頼関係が崩れてしまうというんです。でも私は、『それは逆だ』と考えていました」
 それまでの榛原高校の生徒と教師の人間関係は比較的ドライで、双方に距離があったという。濟藤先生はそこにホットな関係を持ち込んだ。集会などの場を通じて、教員の思いを熱く生徒に伝えようとしたという。
 「ルーズソックスを禁止にするまで、何度も生徒と話し合いを持ちました。そのとき不思議だったのは、学校の指導に対して『本当はそうしてほしかった』と口にする生徒が何人もいたことです。生徒は放っておかれることを望んでおらず、教員が積極的に生徒に関わっていくことを求めていたんですね」(濟藤先生)
 ルーズソックス禁止以降も、スカート丈の長さの指導などの服装指導は続いた。すると生徒の生活態度が徐々に改善されていく中で、勉強へと向かう姿勢も育まれてきた。98年度、99年度と50人を割っていた国公立大の現役合格者数は、00年度には70名を超えるところにまで回復する。進路指導主事の牧野栄一先生は、こう語る。
 「本校がうまく立ち直れたのは、生活態度の改善を学力向上へと結び付けられたからです。生徒は勉強を通じて、頑張ればできるんだという成功体験を味わう。一度成功体験を持てば、問題行動を起こすことは少なくなります」
 こうして榛原高校は、少しずつ低迷期を脱しつつあった。だが地域は榛原高校のそうした状況を知らず、前述したように理数科は01年度、02年度と2年連続で定員割れを起こしていた。学校の現状と地域の認識との間にズレが生じていたのだ。榛原高校は地域の信頼を回復するために、何か新しい対策を講じる必要に迫られていた。


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