ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 新課程3年目を迎えた中学校現場
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高校生の状態をデータで把握
 以上のようなビジョンを浦崎先生が自信を持って語れるのは、そこに実践の裏付けがあるからだ。実は浦崎先生は既に、洞戸中学校であるプロジェクトをスタートさせている。すなわち、例年、洞戸中学校から一定数の卒業生が進学する近隣の武義高校に協力を仰ぎ、高校生の特徴について、データを基にした分析の結果を確認しているのだ。これならば、数値という客観的な指標を基に、中高が互いのギャップを埋める具体的な方策を話し合うことができる。
 「洞戸中学校では、生徒の自学自習習慣の確立を目指して『自主勉強』という独自の取り組みを行ってきました。これは、宿題とは別に、生徒自らに独自の課題を設定させて、家庭学習の中で取り組ませるものですが、実際にデータを取ってみると、中学校段階から家庭学習の習慣が身に付いている生徒の方が、高校入学後も伸びる割合が高いことが分かりました。また、高校の先生方からも自学自習習慣が定着した洞戸中学校の出身者に対しては、高い評価を頂くことができました。
 自分たちが育てた生徒が高校でどう育っているのかについては、中学校もよく把握できていません。高校での生徒の状態についての調査結果から『高校で伸びる生徒作りに必要な要素を確認した上で、いかに生徒への指導を行うべきか』といった、建設的な議論が、本校でも盛んになりつつあります」
 従来、観念論で語られることの多かった中高連携は、データの共有を通じた新たな一歩を踏み出す段階へと進むことができるのではないだろうか。


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