ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
PAGE 8/21 前ページ次ページ


2 自信づくりを意識した教科学習指導
「やればできる」が学習意欲を高める
 4~5月の指導を通して、態度教育と集団の効用により、あらゆる指導が浸透する素地を作った後は、いよいよ教科学習へと本格的に踏み込んでいくことになる。
 基本的な教科の学習法は、各教科の初めての授業の中で、授業の受け方やノートの取り方、辞書の引き方などをレクチャーしていく。ただし、それ以上に最初の単元が重視される。教科の魅力を伝えられるかどうかが、その後の学習への姿勢にも影響を与えるためだ。
 アプローチは教科によって異なるが、国語の場合は、まずインパクトのある教材を与え、中学校との違いを実感させる。
 「通常、最初の教材は随想など簡単なものを選びがちですが、本校ではまず『羅生門』から入ります。中学校時代は小説をフィーリングで読む生徒が多いですが、最初にあえて技巧的な小説の読み方を徹底して教え、中学校との違いを認識させるのです」(井上先生)
 一方、数学では「分かること」に重きを置く。基本的に数学には自信がない生徒が多いため、まず「できて楽しい」と思わせることが、導入期の第一義になるのだ。ただ、いずれの教科も、最初の中間考査では教師の要求学力よりも若干低めの問題を設定し、あえて点数を取らせる方針は共通している。1学年担当の幸田昭子先生は次のように述べる。
 「授業では難しい内容を勉強したけれども、中間考査までにはこれだけの内容を読めるようになったという達成感が、やればできるという自信につながり、その後の学習へのモチベーションを高めるのです」


PAGE 8/21 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse