ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
PAGE 9/21 前ページ次ページ


自学自習力は量から質へ
 更に、教科に対する自信を付けさせるのと同様に重要なのが、自学自習の習慣付けだ。小野高校では、1年次のスタート時から「各教科の課題+予習+復習」の学習総量を、平日3時間、休日5時間を目標として学習時間の確保を図っている。まず自学自習の習慣付けの前提として「量」の確保が図られるわけだが、更に重要なのは、これを「質」に転換していくことだ。
 「よく高校生の自宅学習時間が減っていることが指摘されますが、問題は学習時間よりも中身です。最初は高校の学習に慣れさせる意味で、学習時間は確保させますが、1年生の秋口くらいから2年生にかけての間に、生徒自身で考えさせる学習方法に転換していく必要があると思っています」(井上先生)
 例えば古典なら、1年次前半では、課題文の中で助動詞の意味や活用形を調べるべき箇所に線を引いておき、更に設問も提示して、予習ノートづくりを行わせる。1年次後半からは、課題文に線は引かず、生徒自身が品詞分解を行うようにする。また、課題を出す頻度も、1年生では1週間に1回課題を出すが、2年生ではそれを2週間に1回にし、逆に課題テストの比重を高くするなど、徐々に自分で調べたり考えたりする部分を増やして、与えられたものをこなす姿勢からの脱却を図るのだ。
 また菅野先生は、「自学自習力の涵養には心の成長も欠かせない」と指摘する。
 「数学の課題を出し自己採点させると、答えに×を付けて横に答えだけを記入して提出する生徒がいます。問題集の解答を見て書き込んでいるだけでは、次に同様の問題が出ても解けません。このようなことを解決するには、心の成長が不可欠だと考えています。心が子どものままだと、自分のしていることの意味が自分で評価できないため、分からないまま解答を転記するだけでも平気でいられます。しかし、心が成長して、目標に向かって行動できるようになれば、自分で納得できないまま書くことに抵抗を感じるはずです。態度教育の意味は、こういうところにもあるのです」


PAGE 9/21 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse