ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
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3「壁」により指導の効果を継続
越えるべき「壁」が生徒の成長を促す
 以上見てきたように、小野高校の新入生は導入期に得た高いモチベーションを持って3年間のスタートを切るわけだが、この勢いを2年生、3年生へと持続するために節目節目で生徒に刺激を与え続けることも、導入期に行った活動の成否に関わる重要なポイントになる(図3)。
図3
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 小野高校では、高校生活の様々な場面で意図的に高い「壁」を設けて、それを乗り越えさせることで人間的な成長を促すことを重視している。例えば集団宿泊訓練は、厳しい規律が求められるという点において、生徒にとって最初の壁であり、更に実力テストや文理選択、進路講演会などの取り組み一つひとつが越えるべき壁となる。指導の「節目」を曖昧にせず、壁の存在を認識させることで、生徒の緊張感を持続させる「節目」として機能させているのである。
 「大切なのは、3年間の節目節目で生徒に『揺さぶり』をかけることです。例えば、1年次2学期の文理選択の場面でも、本当に文系でいいのか、将来の目標を考えた上での選択なのかということを、面接などで何度も問いかけていきます。単に興味があるとか、偏差値が高いなどの理由では、我々は決して認めません。ですから、生徒は必死で理由を考え、判断材料を求めて、試行錯誤を繰り返しながら自分の進路を決めていくことになるのです」(井上先生)
 こうした「壁」を与える分、面談等による個別指導は手厚く行っている。図3を見ても分かる通り、「生徒が『高校生』になれているか」「夏季休暇・冬季休暇の過ごし方をどうするか」など、最低でも年6回の面談を通してフォローがなされているのである。 


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