ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
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「第一志望届け」で進路への決意を固める
 「揺さぶり」の中で、生徒にとって最も高い「壁」になるのが、2年次3学期の「第一志望届け」だ。自分がチャレンジしたい大学、学部学科をその理由と合わせて文書にまとめたものであるが、単に教師が生徒の志望を把握するという以上の意味があると、幸田先生は指摘する。
 「『第一志望届け』は、それを基に何度も面談を繰り返し、なぜその目標なのかということを、クラス担任との面接を通して、とことんまで突き詰めて理解し合うためのツールです。きちんと考えている振りをしている生徒も、将来の目標や、その職業に就くためにどうすればよいのかなどを突っ込んで聞いていくと、実はよく分かっていないことが分かります。少しでも教師が納得できない点があれば、何度でも生徒には書き直させていますね」
 実際、あるクラスでは、最初の提出で認められた生徒は40人中わずか2人。残りは何度も書類を突き返されては、学部・学科の内容や将来の進路を改めて調べ、志望動機を書き直し、提出・面談を繰り返した。こうしたやり取りの中で、生徒の目標は次第に具体性を増し、目標への決意を固めていくのである。
 教科学習や進路決定は高校生活の大きな要素だが、生活指導を基盤とした生徒一人ひとりの人間的成長が前提にあってこそ、指導は効果を発揮する。小野高校の取り組みは、高校生活の基盤とは何かを教えてくれる事例と言えるのではないだろうか。


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