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中・高・大での系統的施策で理系人材の裾野を広げる |
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今後、工学系学部人気の低迷や少子化などの影響により工学を目指す学生が減っていけば、現在270万人いる日本の研究者・高度技術者は、2050年には170万人にまで落ち込むと予測されている(文部科学省調べ)。理系人材の不足、特に理工系学部出身の人材不足は、「技術立国」日本にとって、確実に国力の減退と直結する大きな課題である。
こうした課題を受け、文部科学省科学技術・学術政策局長の有本建男氏は、「モノが作れない、創造できない国は産業立国として成立しない。理系人材には広い裾野、厚い中堅、高いピークが必要」と断言する。
「以前は理系のキャリアルート(修士など)は、研究者・教師などに流れていました。しかし、今後の理系人材は産業・研究管理者(産学連携マネジメントリーダなど)、ジャーナリズム、企業研究所、一般企業、高度専門職大学院に広く進出するべきです」
そこで、文部科学省は科学技術振興機構などと協同し、理系人材の活躍の可能性を広げるため「科学技術関係人材養成総合プラン」を策定した。
「現在、理科離れ、科学への社会の関心低下、家庭の理科教育力の低下など、日本の発展にとって憂慮すべき多くの課題が顕在化しています。こうした課題を解決するために、現在『科学技術・学術審議会』において理系の裾野を拡大し、理系人材の多様なキャリアプランの具体化を始めたところです」(文部科学省・有本氏)
例えば、小・中学校で「理数大好きモデル地域」を、高校でSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)を設けることで、技術者育成の連続性をつくり上げようとしているのも同プランの一環である。また、大学では工学系教育の学部段階において工学系高度技術者の養成プログラム(JABEE ※2)がスタートしている。理系人材の水準を高めると共に、裾野を広げるための人材基盤形成が進行しつつあるのだ(図4)。 |
※2 JABEE:日本技術者教育認定機構が行う技術者教育プログラムの認定制度の略称。プログラム修了生には、技術士の基礎資格が与えられる。認定プログラム数は累計102、年間修了者数は約8500名(04年8月現在)。 |
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