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総合的・融合的工学教育の必要性 |
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次に工学部の総合化について見てみたい。現代社会の目覚ましい技術革新は工学者を中心とした技術者に負うものであり、住環境も医療環境も、その技術によって快適性を保証されてきた側面がある。だが一方で、工業技術がもたらした過剰生産は、環境汚染・資源枯渇などの深刻な問題を引き起こした。
技術革新に伴う繁栄の一方で、こうした外部不経済が引き起こることは、これまであまり「総体として捉えることはなかった」(東京大・雨宮教授)工学教育の在り方と無関係ではないだろう。
「これまで工学部は産業界からの要請を最優先し、『モノ作り』をいかに効率的に行うかという命題の下に、産業領域に応じて学問領域を編成してきました。つまり工学部の学科は、専門化・細分化することで生産をより効率的に行うための仕組みとして機能してきたのです」
東京大工学部の学科再編の歴史を検証しても、工学部の各学科はその時代のニーズに応え、その領域を統合・再編してきたことが分かる(図6)。 |
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しかし、今後はその速度を速めると同時に、これからの人間社会や地球環境、情報技術の進展を踏まえて知識と技術を融合させ、複雑化してきたシステムや方法論、理論の体系化が必要になってきているという。最先端の研究領域における異分野同士の融合や、インターフェースの拡充が求められているのだ。 |
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