ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 栃木県立・栃木高校「進路指導」
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合格可能性判定の基となる校内模試の精緻化に取り組む
 さて、以上のような取り組みの上に立って、栃木高校では04年度から新たな試みをスタートさせた。それは、進路判定の材料として使われる、校内模試の精度の更なる向上である。作問・採点負担の大きな校内模試に、あえて栃木高校がこだわるのには理由がある。
 「校内模試を行うメリットは、各生徒の学力のきめ細かな把握が可能になることです。本校の場合、生徒の進学希望の多い大学の過去問を重点的に分析し、『栃高』仕様の問題を作成していますが、04年度からは、それまでは教科内で活用してきた作問研究の成果を冊子にまとめ、全教師で共有しました」(大嶋先生)
 実際のフォームを示したのが図3である。
図3
注目すべきは単に出題傾向を分析するのではなく、「どういう指導・学習法が必要になるのか」というレベルにまで、研究が深められている点だ。
 「問題を分析しただけで終わっては、市販の問題集などと変わりません。『栃高生ならば具体的にどのような勉強が必要になるのか』というところにまで落とし込んでこそ、意味のある入試分析になると考えています。また、こうすることで、担任教師などは、自分の担当外の教科についても、生徒に学習法のアドバイスができるようになります。05年度からは、この冊子を改良したものを生徒にも配付し、学習の手引きとしても活用する案もあります」(渡辺先生)
 校内組織の機能強化、大学を知る努力、そして、判定の精度を上げるための校内模試の精緻化 。「卒業後」を見越したこれらの取り組みが機能することで、栃木高校の生徒たちは自分に合った大学に進むことができるのである。
 また、こうした施策が進学実績の向上にも効果を発揮していることは間違いない。近年、通学区内の少子化が急速に進む中にあって、栃木高校は、東北大、筑波大、千葉大を中心に毎年コンスタントに160名前後の国公立大合格者が輩出し続けている。「生徒一人ひとりを大切に育てる」という原則に忠実な栃木高校の姿勢は、着実に成果を上げているようだ。


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