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教師自身が大学を知り適切なアドバイスを与える |
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「進路指導委員会」の機能強化と並行して、栃木高校の教師たちは、教師自身が大学について深く知ることにも取り組んでいる。もちろん栃木高校では生徒の進路学習にも力を入れているが、第2、第3志望の大学まで細かな情報を調べている生徒はそれほど多くない。3年次に志望校を幅広く検討するには、この情報が重要である。
「近年は学問領域の細分化に加え、大学・学部・学科の再編・統合が進んでいます。また、現在の経済状況を考えると、大学卒業後の就職率などの情報も、進路選択に際しては欠かせないでしょう。しかし、こうした細かな情報を、生徒が3年次になってから自力で見つけるのは困難です。事前に教師がある程度の知識を身に付けていれば、いざというときに適切なアドバイスができますし、1、2年次のうちから、生徒に幅広い視野で大学研究を進めるよう促せます」(石村先生)
このような狙いを実現する取り組みの一つが、卒業生全員に対して毎年実施しているアンケートだ。各大学の現状、学問内容、キャンパスの雰囲気などを率直に語ってもらうこのアンケートは、多数の大学の情報を蓄積する有効なツールとなっている。また、前年度に送り出した生徒たちが、学部ミスマッチを起こしているかどうかを見ることで、併願校選びの更なる精緻化が可能になっているという(図2)。 |
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更に、栃木高校では、教師自身による大学訪問にも力を入れている。
「生徒の志望が特に多い大学や、3年次に併願校として比較の対象に挙がる大学については、教師自身が大学を訪問し、情報収集に努めています。その際には漠然と大学全体の情報を仕入れるのではなく、必ず学科や専攻のレベルまで踏み込んで情報を収集し、『同じ○○学部でも、△△大学と□□大学ではここが違う』と、きちんと生徒に伝えられるようになることを目指します。また、卒業後の就職率や、学部として今後特に力を入れたい分野など、Webページや大学案内には記載されていない情報の収集も欠かせません」(大嶋先生)
アンケートや大学訪問の結果は、その都度報告書の形にまとめられ、「進路指導委員会」や職員会議を通じて全教師に共有される。また、新年度の5月には、前年度の入試結果を基に、旧担任団が3年間の指導を振り返ってその成果と課題を報告する「進学対策会議」も行われており、全教師による情報の共有に大きな役割を果たしている。これらの取り組みによって、3年間を通したブレのない進路指導を目指しているのだ。岡田校長は、こうした取り組みを徹底することで、今後は「学校全体のノウハウ」を更に積み上げていきたいと語る。
「大学の細かな学問情報や、入試情報は、一部のベテラン教員の知識に依存している部分がありますが、今後はそうした部分も組織的な『栃高のノウハウ』として更に確立していきたいですね」 |
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