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事前の「すり合わせ」による委員会の充実効果的な面談の実施へ |
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一方、「進路指導委員会」で、出席している様々な教師の意見を集約するためには、一人ひとりの生徒の志望や成績などの基本的情報を、進路指導部のクラス担当者と、担任があらかじめ共有する必要がある。そこで栃木高校では、「進路指導委員会」の前に、ある程度の情報共有を行うための場が設けられた。栃木高校の教師たちが「すり合わせ」と呼ぶ会議がそれに当たる。「簡単な課題が本会議の前にクリアできるようになったのはもちろん、一人の生徒について何度も話し合うことで、生徒理解が深まった」と語るのは進路指導部の渡辺佐知夫先生である。
「昨年3年の担任をしていた時に、どうしてもバイオ関係のことが学びたいと、農学系の学部を志望している生徒がいたのですが、成績面で不安がありました。そんな時、7月の第1回進路指導委員会の際の『すり合わせ』を通じて、進路指導部の先生から、別の大学の工学部で同じ学問が学べることを教えていただきました。委員会で更に検討し、それを三者懇談で話したところ、生徒はその後、その大学を研究し、12月の第2回進路指導委員会の際は、その大学を第1志望にしました。つまり『積極的な志望校変更』につながったわけです。入学後も大学での研究内容に満足しているという報告を受けています。事前の『すり合わせ』は、『進路指導委員会』での本質的な議論を可能にすることはもちろん、一人ひとりの生徒の進路をより深く考えることにもつながっていると思います」(渡辺先生)
一方、こうしたプロセスは、教師の課題意識の深化や、生徒が進路に対するモチベーションを高める上でも効果があるという。
「『進路指導委員会』では、『生徒の第1志望を貫かせてやりたい』と考える担任と、データを基に合格可能性を考える進路指導部の教師が異なる立場からあえて議論を戦わせることによって、進路実現へ向けての課題が明確化します。担任はこの会議での様々な情報を背景に、7月と12月の三者懇談に臨み、生徒、保護者が納得のいく面談を実施できることになります。このプロセスを経て、生徒は更にモチベーションを高めていくことができます」(渡辺先生)
こうした指導のベースとなる面談は、3年次では年10回以上、1、2年次でも年6回以上に及ぶ。当然、担任団の負担は大きくなるが、栃木高校ではこの方針に異論が出たことはないそうだ。
「3年次にいきなり面談を増やしても効果はありません。むしろ、1、2年次のうちから生徒としっかり接し、信頼関係を築いていくことこそ、3年次の指導を機能させることにつながると思います。また、『進路指導委員会』には1、2学年の担任も進路指導部の教師として出席し、情報を共有しています。1、2年次の面談の際に、『進路指導委員会』で得た最新の情報を生徒に伝えることは、3年次での進路ミスマッチを未然に防ぐ効果を発揮しています」(北原先生)
一連の作業をチャート化したのが図1である。生徒の志望の徹底的な把握→進路指導部と担任の情報交換→「進路指導委員会」→検討結果を踏まえた生徒との再面談という流れが確立していることが分かるだろう。 |
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